
公正取引委員会は5月29日、電気自動車(EV)充電サービスに関する市場調査の第二次実態報告書を公表した。地方自治体が提供している電気自動車(EV)充電サービスに関し、市場原理を考慮するよう促した。
公正取引委員会は、日本政府が掲げるカーボンニュートラル目標や、2023年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023」の中で、「2035年までに新車販売でいわゆる電動車(略)を100%とする目標等に向け、(略)充電・水素充てんインフラの整備(略)を支援する」とされていることに鑑み、同目標の達成を後押しすることを目的とした調査を行っている。
同委員会はすでに2023年7月、第一次実態報告書として、高速道路上におけるEV充電サービスを対象とする報告書を公表。市場メカニズムを働かせ、公正かつ自由な競争を通じて資源の効率的な利用を促し、企業の活力向上、消費者の効用増大、イノベーションの活性化等を図ることを提言していた。
今回の第2次調査では、地方自治体が展開しているEV充電サービスの実態を調査。地方自治体の政策では、EV充電サービス提供事業者の選定に際し、見積等をとらず随意契約で委託していることが多いことがわかった。背景には、無償で設置できる点が事業者選択のポイントとなっており、入札やプロポーザル方式を導入しない傾向があることがみえてきた。
これに関し、同委員会は、EV充電サービスを提供する事業者が複数存在する現在においては、複数の事業者から設置事業者を選定すること、特に、より多くの事業者が参加可能な公募を実施することが望ましいと説明。その際には、どのような充電ニーズがあるのかを自治体自身で検討した上で、価格以外の要素も勘案して公募条件を設定することが望ましいとした。
また、現状では、利用料金の設定主体が地方自治体であるEV充電器のうち、78.8%のEV充電器が、無料、もしくは有料ではあるもののランニングコストを賄えない料金設定により開放されていることも突き止めた。これに対しては、「EVの普及推進という政策のために安価な料金設定とすることには一定の合理性が認められ、また、需要が過少で事業者によるEV充電器の設置が期待できない場所において、自治体がEV充電器を無料開放することは問題ないと考えられる」ものの、民業圧迫を避けるため、「需要がある程度見込まれる場所において民間事業者がEV充電サービスを提供している場合、自治体は、採算を踏まえた上でEV充電器の利用料金を検討して設定することが望ましい」とした。
設置するEV充電サービスに関しても、「相互利用連携を推進することが競争政策上望ましい」と言及。相互連携のためのインターフェースの在り方については、「関係者間で議論を行うよう、関係省庁である経済産業省が議論の場を設けることが望ましい」とした。
【参照ページ】(令和6年5月29日)電気自動車(EV)充電サービスに関する第二次実態調査について
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