
EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会は7月22日、北東大西洋漁業委員会(NEAFC)海域における漁業ルールを改訂する規則案を採択した。同規則案はすでに欧州議会でも可決されており、同EU規則が成立した。EU官報掲載の3日後に発効するが、具体的な適用規則は欧州委員会が2028年11月30日までの間に委託法令の形で制定する。
北東大西洋漁業委員会(NEAFC)は、「北東大西洋における将来の多国間協力に関する条約」の対象となる漁業資源の管理を担当する地域漁業管理組織で、現在の加盟国は、EU、英国、デンマーク領フェロー諸島及びグリーンランド、ノルウェー、アイスランド、ロシア。EUは、NEAFCが採択した勧告に関し、異議がある場合を除き、EU加盟国に適用する方針を採用している。今回の措置も、NEAFC勧告のうち、現行のEU法でカバーされていない内容を適用するためものとなる。
今回の新規則では、まず、海上での積替え作業の管理を改善するための変更や、船舶からの廃棄物や紛失した漁具の回収に関する規則が盛り込まれた。まず漁船は、漁具を故意に廃棄または放棄することを禁止。紛失した漁具を回収できない場合は、24時間以内に船籍国のEU加盟国当局に通知する義務を負う。紛失漁具の定期回収は、EU加盟国の義務となり、加盟国は回収費用を漁船船長から徴収することも可能となる。
特定の遠洋性魚種の水揚げが年間3,000tを超える港で、10tを超える水揚げ・加工施設では、計量を監視するため、カメラやセンサーも導入される。EU加盟国が対象となる施設をリスト化する。これにより不正漁業を防ぐ。
マダラ、シタビラメ、ツノガレイ等の22魚種は、漁獲物の廃棄や放流が禁止される魚種リストに追加された。漁業サステナビリティの向上が目的。深海のサンゴや海綿動物など、脆弱な海洋生態系(VME)を保護するため、特定の海域における底曳漁(トロール漁)の禁止も2027年末まで延長となった。
また同規則は、EU、デンマーク領フェロー諸島及びグリーンランド、アイスランド、ノルウェー、英国の合意に基づき、北東大西洋のサバ、アジ、シロギス、ニシンの4魚種の遠洋漁業に関する管理措置も導入された。
【参照ページ】Council adopts updated fisheries measures in the North-East Atlantic
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