
文部科学省所管の国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)と東芝は8月25日、日本が製作した世界最大級の超伝導トロイダル磁場コイル(TFコイル)が、運転温度のマイナス269℃で通電試験に初めて成功したと発表した。
同試験は、日本、欧州、ロシア、米国、中国、韓国、インドの7カ国が参加する国際核融合実験炉プロジェクト「ITER」の一部として進められている。TFコイルは、プラズマを閉じ込めるための強力な磁場を発生させる最重要機器の一つ。今回の試験では、ITER国際核融合エネルギー機構と協力して、TFコイルを室温から極低温まで冷却して超伝導状態になることと、超伝導状態で初めて1万Aまでの大電流を安定して通電することを確認した。
ITERの超伝導マグネットシステムは、直径約30m、重量約1万tの巨大な装置で、その中で周方向に18機をドーナツ状に配置するD型コイルがTFコイル。TFコイルは、プラズマを閉じ込めるための強力な磁場を生成する中核機器で、日本は、TF導体の25%、全19機分のTF構造物、9機のTFコイルの製作を担当している。
TFコイルは、高さ16.5m、幅9.2m、重量310tの巨大な超伝導コイル。同コイルは、最大磁場11.8テスラを発生させる巻線部と、直線部に作用する最大約6万tの電磁力を支持する構造物から構成されている。巻線部は、「ダブル・パンケーキ」と呼ばれる2層構造の巻線を7枚積層した構造で、各ダブル・パンケーキは、D型に巻かれた超伝導導体と、その導体を収める溝を有するラジアル・プレートでできている。TFコイルに使用されるニオブ3スズ超伝導導体は、ITER参加極のうち日本、欧州、韓国、米国、ロシア、中国で製作。各国で製作された導体と日本が全19機分を製作した構造物は、日本と欧州のTFコイル製作拠点に輸送され、TFコイルの製作に用いられた。
(出所)QST
日本は2008年にITER機構とTFコイルの調達契約を締結し、QSTは産業界と連携して約15年にわたりTFコイルの開発を進め、2023年に全9機のTFコイルの製作を完了している。
同試験の成功により、ひずみに敏感なニオブスズ超伝導導体を用いて大型コイルを製造する方法の妥当性が確認できたという。また、極低温環境での安定した運転を確実にするために必要な情報であるジョイント部の抵抗発熱量及び極低温下における冷媒の流動特性を取得し、いずれも設計時の想定範囲内の値であることが確認できた。さらに、極低温への冷却や1万Aの通電による冷媒の漏えいなどの不具合はなく、TFコイルの健全性も確認された。
【参照ページ】世界最大級の超伝導トロイダル磁場コイル、通電試験に成功
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