ダボス会議で有名な世界経済フォーラム(WEF)は9月28日、各国の国際競争力ランキングである「Global Competitiveness Report 2016-2017(2016-2017 世界競争力レポート)」を発表した。世界的に有名な競争力の国別ランキングでは、同ランキングとスイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表する「IMD World Competitiveness Ranking(IMD世界競争力ランキング)」の2つがある。世界経済フォーラムのランキングは、138ヶ国における、生産性を決定する諸要素100以上を評価したもの。
WEF世界競争力ランキング
(括弧内)は昨年順位
1位(1位) スイス
2位(2位) シンガポール
3位(3位) 米国
4位(5位) オランダ
5位(4位) ドイツ
6位(9位) スウェーデン
7位(10位)英国
8位(6位) 日本
9位(7位) 香港
10位(8位)フィンランド
11位(11位)ノルウェー
12位(12位)デンマーク
13位(16位)ニュージーランド
14位(15位)台湾
15位(13位)カナダ
今年の首位は3年連続でスイス。スイスは、「市場規模」の中項目では世界38位とトップクラスではないが、それ以外の11の中項目はいずれも8位以内に入っている。特にイノベーションに関する大項目を構成する2つの中項目「ビジネスの洗練度」「イノベーションは」はともに1位。それ以外でも「労働市場の効率性」「技術適応力」でも1位。2位シンガポールはも「市場規模」は世界37位と中程度だが、「高等教育」「商品市場の効率性」で1位、「制度的環境」「インフラ整備」「初等教育・保健衛生」「労働市場の効率性」「金融市場」で2位についた。
上位10位までの国ぶれは昨年と同じだった。10位以内の変動は多少あり、日本は6位から8位に順位を下げた。日本のここ数年の順位変遷としては、8(2009年)、6位(2010年)、9(2011年)、10(2012年)、9(2013年)、6位(2014年)、6位(2015年)、8位(今年)。2013年から6位に浮上していたが、今年再び順位を下げる結果となっている。日本は、「ビジネスの洗練度」ではスイスに次ぐ2位、「市場規模」で4位、「インフラ整備」と「初等教育・保健衛生」で5位と高位だが、それ以外はいずれも振るわず、「マクロ経済環境」は104位と非常に低い。昨年との比較では、実は最も足を引っ張っている「マクロ経済環境」は昨年121位から大きく改善していた一方で、「イノベーション」「制度的環境」などが順位を下げた。日本の実力値はそれほど下がっていないのかもしれないが、それぞれの分野でそれ以外の国の実力が向上してきており、相対的な順位を下げる結果となった。
同報告書では、世界経済の全体傾向として、世界経済が低迷する中で各国は金融緩和などに躍起になっているが、国際競争力が低い国では金融政策の効果が限定的であること、国際競争力にとってはイノベーションが鍵となること、イノベーションの改善には対外的市場開放が重要であることを指摘した。また、中所得国対しては、非関税障壁、煩雑な通関手続、直接投資や外資規制などが対外的市場開放を妨げており、イノベーションを阻んでいるとの統計を示した。
【参照ページ】Declining Openness a Major Threat to Global Competitiveness
【報告書】The Global Competitiveness Report 2016-2017
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