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【日本】経産省、蓄電池・モーターの開発・実装計画発表。欧米中との格差が深刻な状況

 経済産業省は8月3日、「次世代蓄電池・次世代モータの開発プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画」を発表した。バッテリーやモーターは、今後急成長が見込まれている分野だが、日本企業のグローバル市場シェアが急落しており、同省としての危機感も示した。

 今回の計画は、5月に発足した同省の産業構造審議会グリーンイノベーションプロジェクト部会産業構造転換分野ワーキンググループで検討されてきた。開発計画では2030年の技術達成目標を設定した。

 高性能蓄電池・材料では、大容量電池では700Mh/lから800MW/lを、高出入力系蓄電池では2,000W/kgから2,500W/kg、かつ200Wh/lから300Wh/lの性能を実現する。そのための製造技術、材料の開発を支援する。価格では、2030年までに早期に液系リチウムバッテリーで1万円/kWhを目指すことを再確認した。

 材料分野では、コバルトや黒鉛等の特定国依存度の高い材料の使用量を著しく低減することを可能とする技術や、材料製造時二酸化炭素排出量の大幅低減技術の開発を積極化する。

 バッテリーのリサイクル技術では、リチウムで70%、ニッケルで95%、コバルトで95%以上の回収目標を掲げた。

 モーターでは、モーター、ギア、インバーターに加え、冷却による損失も加味した上で、平均効率85%以上を目標として設定。出力密度では、モーター単体で8.0kW/kg、モーター、ギア、インバーター全体では3.0kW/kgを目標値として定めた。

 これらの技術を開発し実装化したことによる二酸化炭素排出量削減については、2040年に年間約2.6億t、2050年には年間約9.4億tと見積もった。算定根拠の世界自動車普及状況としては、国際エネルギー機関(IEA)のデータを使い、2040年に電気自動車(EV)が4億1,100万台、プラグインハイブリッド車(PHV)が1億8,400万台。2050年に電気自動車(EV)が9億1,100万台、プラグインハイブリッド車(PHV)が3億4,200万台とした。

 日本の蓄電池産業の現況は非常に悪い。2025年の地域別の生産能力では、中国や欧州では年700GWhを計画しているのに対し、日本は年39GWhと桁が違う。経済産業省は目下、2030年までに100GWhを目標として掲げているが、米欧中との乖離があまりにも大きい。日本が「優位技術」として認識してきた全固体電池でも、2015年までに特許数で日本が世界一だったが、2016年に中国に抜かれた。2018年の特許数では、中国に2倍以上の差をつけられており、中国の技術独走が続いている。材料分野でも、経済産業省は、「中国勢がコスト面に加え、品質面でも追い上げ。日系蓄電池メーカも中国材料活用の可能性」と言及した。

 経済産業省は、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)で、次世代蓄電池・次世代モータの開発の公募を行う。事業期間は2021年度から2030年度。

【参照ページ】第3回 産業構造審議会 グリーンイノベーションプロジェクト部会 産業構造転換分野ワーキンググループ
【参照ページ】「グリーンイノベーション基金事業/次世代蓄電池・次世代モータの開発」に係る公募について(予告)

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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