世界銀行は8月15日、世界の食料価格のインフレが貧困、飢餓、栄養失調の状況を悪化させる可能性を分析した食料安全保障に関するレポートを発表した。食料へのアクセスが制限され短期的に命や生活が危険に晒されている食料危機の人々は、2022年6月までに82カ国、約3.5億人に増加した。
今回の発表は、世界の食料価格のインフレ状況について分析したもの。2022年4月から7月に5%を超えるインフレ率を経験している国は、低所得国で92.9%、中所得国で92.7%、高中所得国で89%。多くの国では、10%を超えるインフレ率となっている。高所得国の83.3%でも食料価格のインフレが発生。農作物の価格指数では、2022年1月と2022年8月で比較すると、とうもろこしと小麦は20%高く、米は16%高い。
世界銀行の2022年4月の商品市場の見通しによれば、ロシアのウクライナ侵攻により2024年末まで歴史的に高い水準で価格が維持され、食料不安とインフレを悪化させる。加えて、各国が実施する貿易関連政策が増加していることも影響を与える。2022年8月時点で少なくとも23カ国が33の食料輸出禁止措置を、7カ国が11の輸出制限措置を実施している。
世界銀行は食料と栄養の安全保障を強化しリスクを軽減するため、短期的・長期的な対応を展開している。2022年5月には世界銀行グループとG7が共同で「食料安全保障のためのグローバル・アライアンス」を開催した。また、農業、栄養、社会的保護、水、灌漑などの分野に対し最大300億ドル(約4.2円)を投資できるようにしており、アフリカを中心に支援を行っている。
【参照ページ】Food Security Update
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