英国のナショナルトラストが、北ウェールズのコンウィ渓谷にあるボドナントガーデンの丘陵部分に175アレイのパナソニック製太陽光発電パネルを設置し、それがモダンアート作品のようだと話題を呼んでいる。
設置された太陽光発電パネルは年間43,000kWhの電力を創出し、敷地内のパビリオンカフェや隣接する駐車場の2カ所の電気自動車用チャージングポイントへの送電、電動工具用電池のリチャージなどに使用される。
ナショナルトラストは、後世に残したい貴重な自然遺産・文化遺産を守るために市民からの寄付の募集や関係機関への働きかけ、保全活動等を進めている市民団体で、英国で最も多くの私有地を所有している。これまでにウォーリック州アプトンハウスのバイオマスボイラー、チェシャー州クォーリーバンク、そしてカンブリア州ヘイズウォーターの水力発電事業等、英国各地で環境改善への取り組みを行ってきた。
ナショナルトラストは2014年に英国パナソニック(PUK)とパートナーシップを締結し、2020年までに消費エネルギーの20%削減と化石燃料の使用を半減させることを目指しているという。PUKは、ナショナルトラストにLED照明やソーラー発電システム、ヒートポンプ等の環境配慮型ソリューションを提供することで目標の達成を後押ししている。
今回パネルが設置されたボトナントガーデンは、昨年には約21万もの人々が訪れた観光地だ。ナショナルトラストの環境アドバイザーを務めるPaul Southall氏は「訪問者の頭上を太陽が照らす一方で、発電システムが稼働し、それが完璧に調和する」と語る。ソーラーシステム稼働の初日午前中に35~40ポンド節約し、その分を本来の目的である所有資産の保全に投入できたという。
パネルは岩の多い丘陵地に設置され、丘陵地のカーブに沿って設置することで地形とパネルとの一体化を図ったユニークなシステムだ。ボドナントガーデンの総支配人を務めるWilliam Greenwood氏はこの新たな取り組みについて、より持続可能な方法で庭園や遺跡を管理・運営する最良の事例だとして歓迎しているという。
同氏は当初、「工業的で美しくない景観になってしまうのでは」と少し心配だったが、出来上がりが素晴らしく、まるでずっとそこにあったように周辺と融け合っていて、訪問者から「丘陵のカーブに沿って曲がりくねる蛇のような、モダンアート作品のように見える」とさえ言われているそうだ。
太陽光発電システムというパナソニックの最先端のグリーンテクノロジーと、ボドナントガーデンという歴史的な自然遺産の景観が、環境保全という共通の目的のもとに時空を超えて調和するというのは非常に興味深い。企業と非営利団体との協働という意味でも優れたCSR事例だと言える。
【参照記事】National Trust installs 'modern art' solar array at historic garden
【参照記事】National Trust and Panasonic team up for green technology 'showcase'
【参照記事】National Trust, Panasonic UK announce green technology partnership
【団体サイト】National Trust UK
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