ファーストフード世界大手米マクドナルドは12月11日、牛肉生産に用いている抗生物質の仕様を全面的に削減すると発表した。世界保健機関(WHO)が抗生物質の使用過多による薬剤耐性(AMR)の問題に警鐘を鳴らしていることに対応するものと理由を話した。他方、米国での牛肉畜産では効率性を高めるため、牛を抗生物質漬けにすることが常態化しており、消費者の間では健康不安への懸念も生じていた。
マクドナルドは、薬剤耐性の問題に対しては2017年、「食用動物における抗生物質スチュワードシップのためのグローバル・ビジョン(VAS)」を発表。WHOが2017年に策定した「食用家畜における医療上重要な抗菌性物質(MIA)の使用に関するガイドライン」を基にしつつ対応を検討していた。EUでは、人体の健康上重要性が高く、薬剤耐性が深刻な「マクロライド系抗生物質」の使用過多を大きく問題視。規制強化の議論も進めてきている。
今回の施策ではまず、マクドナルドの牛肉調達量が大きい10ヶ国の牛肉生産者とパートナーシップを組み、抗生物質使用量の測定と課題意識の共有を進める。マクドナルドによると、牛肉生産者の抗生物質使用についてはデータが存在せず、まずデータ把握から進める必要があるという。対象となる10カ国は、米国、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、英国、アイルランド、ポーランド。
次に、2020年末までに耐性菌問題の大きい抗生物質を対象に削減目標を定める。そして2022年から10ヶ国での抗生物質使用削減についての進捗状況の開示を始める。マクドナルドは同時に、米疾病予防管理センター(CDC)が2018年9月に発足した1年間のプログラム「薬剤耐性(AMR)チャレンジ」にも参加すると表明した。
マクドナルドは、抗生物質の使用削減のためには、牛肉生産者、獣医、バイオ医薬品業界全体での取組が不可欠と認識。予防医療や農場衛生、畜産と予防接種等について新たな考え方を構築する必要があると述べた。
【参照ページ】Using our Scale for Good: McDonald’s New Antibiotic Policy for Beef
【ポリシー】Antibiotic Use Policy for Beef and Dairy Beef
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