国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)と機関投資家20機関は5月10日、機関投資家向けに、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインに沿う情報開示を実践するためのガイダンスを発行。気候変動のポートフォリオ影響を分析した。
今回の発行に加わったのは、ノルウェー銀行投資マネジメント部門(NBIM)、AVIVA、KLP、DNB、ケベック州投資信託銀行、デジャルダン・グループ、La Française Group、Citibanamex、M&Gインベストメント、マニュライフ・アセット・マネジメント、ラサール・インベストメント・マネージメント、ノルデア・インベストメント・マネジメント、ストアブランド・アセット・マネジメント、TDアセット・マネジメント、ロックフェラー・アセット・マネジメント、シティ・デベロップメンツ、Bentall Kennedy、Addenda Capital、Investa、Link REITの20機関。
今回実施した分析では、政府が十分な対策を採らなければ、世界の大手上場企業3万社で合計1.2兆米ドル(約132兆円)の損失リスクが発生すると試算した。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「1.5℃特別報告書」を基にすると、投資先企業の移行リスクにより、ポートフォリオリスクは13.16%にも達する。すなわち、運用会社上位500社の運用資産総額81.2兆米ドルに対し、10.7兆米ドルのリスクが潜んでいる。特に、電力、交通、農業、資源採掘、石油精製の分野が大きく、リスクは50.6%と非常に高い。
一方、2℃シナリオ下でも、気候変動対策による新たな市場機会は2.1兆米ドルと算出。損失分と機会を合わせて考慮すると、3℃シナリオでは3.21%、2℃シナリオでは6.94%、1.5℃シナリオでは10.74%と投資リターンが高まっていく。
また、世界1,200社で構成するMSCI World Indexへのパフォーマンス影響を分析。期待ショートフォール(CVaR)は、1.5℃シナリオ下で0.05%、2℃シナリオ下で-0.46%、3℃シナリオ下で-0.8%と悪化していく。また、市場機会のみに着目すると、環境売上は1.5℃シナリオのほうが3℃シナリオよりも6倍も高まる。
【参照ページ】CHANGING COURSE: UNEP FI AND TWENTY INSTITUTIONAL INVESTORS LAUNCH NEW GUIDANCE TO IMPLEMENT TCFD RECOMMENDATIONS
【レポート】CHANGING COURSE: A COMPREHENSIVE INVESTOR GUIDE TO SCENARIO-BASED METHODS FOR CLIMATE RISK ASSESSMENT, IN RESPONSE TO THE TCFD
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