キリスト教系機関投資家団体英チャーチ・インベスターズ・グループ(CIG)は3月3日、2020年の株主総会シーズンに先駆け、議決権行使方針を強化。英国大企業に対し、主要課題への対応に遅れがみられる場合、取締役の選任決議に反対票を投じるという厳しい姿勢を表明した。CIGは、英国国教会とメソジスト派の主要機関投資家の代表であり、資産総額は約210億ポンド(約2.8兆円)。
CIGは、FTSE350採用企業に対し、2019年1月から適用されるコーポレートガバナンス・コード2018年版を前倒し採用することを推奨。20%以上の反対票を受けた取締役会は、株主の懸念に応えるため、株主が求める内容に対しコミットする姿勢を示すことを期待するとした。
法人税の透明性
FTSE350およびラッセル50採用企業の取締役会議長に対し、FTSE ESG評価の「税の透明性」でスコア0の場合、反対票を投じる。CIGが法人税の透明性を議決権行使の方針として取り上げたのは今回が初。
気候変動
欧米主要機関投資家18機関が参加する低炭素経済推進イニシアチブ「Transition Pathway Initiative(TPI)」でレベル0または1に格付された企業、および所在国のパリ協定自主削減目標(NDC)に即した二酸化炭素排出量削減計画のないTPIおよびClimate Action 100+の評価対象電力会社の取締役会議長に反対票を投じる。
ジェンダー・ダイバーシティ
欧州、米国、オーストラリア、ニュージーランドの主要インデックス採用企業のうち、女性取締役が1人もいない企業の指名委員会議長に反対票を投じる。
CEOと従業員の賃金比率の開示
報酬報告書にCEOと平均従業員の賃金比率を開示していないFTSE350企業の報酬報告書に対し、反対票を投じる。
Living Wage認証の取得
Living Wage認証を取得していないFTSE100通信会社の報酬報告書には、棄権票を投じる。昨年まではFTSE100採用の金融・製薬企業だけが対象だった。
CIGは2019年、CEOが報酬比30%以上の年金支払いを受けている場合には、報酬報告書承認に棄権票を投じる方針を発表。その結果、FTSE350採用企業の60%以上でCIGの加盟機関は報酬報告書に棄権を投じた。加盟投資団体に対しては、CIG報酬原則のうち3つ以上の違反が見られる場合には、報酬委員会全体に対する反対票を投じることを加盟機関に認めている。
【参照ページ】Church Investors Announce Tougher Line on AGM Voting Policy
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