英製薬大手アストラゼネカは9月9日、英オックスフォード大学から生産ライセンス取得した新型コロナウイルス感染症ワクチン「AZD1222」について、世界中で実施されていた臨床試験を一時中断すると発表した。被験者1人で、脊髄の炎症を起こす神経障害である横断性脊髄炎(TM)とみられる深刻な副作用が発生した。
副作用は、英国でのフェーズ3臨床試験中に発生。同社は通常のレビュープロセスに則り、臨床試験を中断。第三者委員会による安全性データの検証作業に入る。検証でワクチンが原因と判断されば、生産中のワクチンは全て廃棄される。一方、検証でワクチンとの因果関係が否定されれば、来週にも臨床試験を再開したい考え。
同社ワクチン「AZD1222」は、ラッサ熱や中東呼吸器症候群(MERS)のワクチンにも使われるアデノウイルスベクター(ChAdOx1)を活用。4月からフェーズ1とフェーズ2の臨床試験を被験者1,000人以上で実施し、好結果を得る等、ワクチン開発競争で他社を先行していた。8月には、フェーズ3臨床試験を開始し、世界的に期待されていた。
同ワクチンの臨床試験では今回、7月にも被験者1人に異常が発生し、試験が一時中断されたが、未診断の多発性硬化症であったことがわかり、臨床試験が再開された経緯があったことも明らかにされた。
【参考】【EU】アストラゼネカ、独仏蘭伊主導の国家連合に開発中の新型コロナワクチン4億個提供で合意
【参考】【イギリス】アストラゼネカ、オックスフォード大開発中の新型コロナワクチンを9月に供給開始
【参照ページ】Statement on AstraZeneca Oxford SARS-CoV-2 vaccine, AZD1222, COVID-19 vaccine trials temporary pause
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