英製薬大手アストラゼネカは5月21日、英オックスフォード大学が開発を進める新型コロナウイルス感染症へのワクチン生産ライセンスを受けたと発表した。9月の提供開始に向け準備を進める。同社のワクチンの臨床試験、生産、流通では、米生物医学先端研究開発局(BARDA)が同日、10億米ドル(約1080億円)以上の助成金を提供することでも合意した。
オックスフォード大学で開発が進められているワクチン「AZD1222」は、ラッサ熱や中東呼吸器症候群(MERS)のワクチンにも使われるアデノウイルスベクター(ChAdOx1)を活用。4月からフェーズ1(第Ⅰ相試験)とフェーズ2(第ⅠI相試験)の臨床試験を治験者1,000人以上で実施しており、ワクチン開発競争の先頭に立っているとも言われている。サラ・ギルバート教授率いるチームは、1月初めから新型コロナウイルスのワクチン開発に着手し、4月の時点ですでに秋頃にはワクチンの大量供給を始められるとの希望的観測も示していた。
アストラゼネカは今回、オックスフォード大学から初回4億個以上のライセンスを獲得。同社として10億個の生産能力を確保すると表明。世界中に供給できるようにするため、CEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)、GAVIアライアンス、世界保健機関(WHO)とも協議する。今後数カ月間で、サプライヤー等の企業とも協働し、生産能力を拡大できるよう今後調整に入る。生産能力拡大でインド血清研究所等と相談していることも明かした。
米生物医学先端研究開発局の資金援助では、3万人の治験者を対象としたフェーズ3(最終段階の第ⅠII相試験)の臨床試験にも用いる。4億個の初回ワクチンは、3億個は米国、1億個は英国に供給すると見られている。米国からはBARDAが今回、開発資金を提供。英国政府も同社のワクチン開発に助成金を提供している。
アストラゼネカは今回、ワクチンが最終的に有効性が確認されない可能性がありつつも、現段階では臨床試験の加速と、生産体制の強化を先行して進めていくとした。
【参照ページ】AstraZeneca advances response to global COVID-19 challenge as it receives first commitments for Oxford’s potential new vaccine
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