欧州委員会は9月4日、オーガニック農業に関するパブリックコメントの募集を開始した。欧州委員会は、2019年12月に発表した「欧州グリーンディール政策」の中で、オーガニック農業を重要な政策と位置づけており、今回将来政策についての方向性について広く意見を募る。
【参考】【戦略】EU欧州委が定めた「欧州グリーンディール政策」の内容。〜9つの政策骨子を詳細解説〜(2019年12月12日)
欧州委員会は、オーガニック農業を、気候変動、生物多様性戦略、「Farm to Fork(農場から食卓まで)」戦略を同時に追求できる施策ととらえている。特に5月に発表したFarm to Fork戦略では、2030年までに殺虫剤の使用量を半減、肥料使用量を20%減、過栄養での栄養ロスを半減、畜産と水産での抗菌薬使用量を半減、オーガニック農業での生産面積を全体の25%に引き上げの5項目で目標を設定している。
欧州委員会は今回、すでに成立しているオーガニック農業に関する新法の施行時期を、当初予定の2021年1月から2022年1月に延期すると発表した。背景には、新型コロナウイルス・パンデミックによる混乱もあり、EU加盟国や欧州議会等から準備に時間をかけるため延期を求める要望があった。新法では、オーガニック農業に関する管理制度の強化、小規模農家がオーガニック農業に転換することを容易にする制度、EU域外でのオーガニック食品をEU域内に輸入する際のルール、オーガニック農業を名乗れる対象食品の拡大等が盛り込まれている。
また欧州委員会は同時に、2021年前半にオーガニック農業アクションプランを制定する。同プランでは、オーガニック農業の消費者需要増、オーガニック農業生産面積の拡大、気候変動と生物多様性喪失の対策としてのオーガニック農業の役割の強化の3つのテーマで戦略を定める。
加えて、欧州委員会は、EU農業食品促進政策を定め、予算面でもオーガニック農業を支援できるようにする。EUの農業政策の根幹を形成する「共通農業政策」でもオーガニック農業への転換を引き続き支援していく。
【参照ページ】European Green Deal: Commission prepares new initiatives to boost the organic farming sector
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