日本自動車工業会(自工会)会長を務める豊田章男・トヨタ自動車社長は12月17日、報道各社とのオンライン懇談会を開催。昨今のカーボンニュートラル等の情勢を踏まえ、報道機関からの質問に応える場を設けた。
菅義偉・首相が表明した「2050年カーボンニュートラル目標」については、自工会として「大変ありがたい」と表明。自工会としても同日理事会を開催し、全力でチャレンジすることを決定したことを伝えた。但し、サプライチェーン全体で大幅なイノベーションが必要となるため、日本政府に対し、欧米中と同様の政策的財政的支援を要請した。
一方、今後の方向性としては、自工会が掲げる「電動化」には、電気自動車(EV)だけでなく、燃料電池自動車(FCV)の他、ハイブリッド(HV)車や、プラグインハイブリッド(PHV/PHEV)も含めることを強調。報道機関に対しては、「電動化」にはHVやPHVも含むということをしっかり考慮して報道することを向け、昨今の報道が「ミスリード」と苦言を呈した。
また豊田会長は、電動化の観点からは、ハイブリッド車が普及している日本は、電動化率で1位のノルウェー68%に次ぐ、世界2位の35%ということも強調。絶対台数で150万台も走行しており、ノルウェーの10万台を大きく凌駕するとの見方を示した。
加えて、電動化に向けては、日本は火力発電が約77%と高く、電動化しても二酸化炭素排出量を大きく減らせないことも課題視。カーボンニュートラルの考え方で行くと、このままでは「日本ではこの車は作れないということになってしまう」とエネルギー政策に課題があることを強く話した。
またハイブリッド車を含むガソリン車を全廃し、全てEVにした場合、夏期のピーク電力対策のため設備容量を10%から15%増やす必要があり、「原発でプラス10基、火力発電であればプラス20基必要な規模」と試算。さらに、EV充電インフラでは、家庭用充電機等で、約14兆円から37兆円かかるとの算出結果も示した。電池の供給能力でも、現状の30倍が必要で、コストは2兆円ということも示した。
こうした背景から、「これは国のエネルギー政策そのものでありますし、ここに手を打たないと、この後、この国ではもの作りを残して雇用を増やし、税金を納めるという自動車業界が現在やっておりますビジネスモデルが崩壊してしまうおそれがある」と、政治家に理解を求めた。
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