国際資本市場協会(ICMA)は1月14日、中国の発行体による債券発行に関する報告書を発表した。中国の発行体の存在感が国際的な発行市場全体の中で急速に大きくなっていることに鑑み、オフショア発行とオンショア発行の双方の状況を分析した上で、今後の展望を示した。
中国企業による社債のオフショア発行に関しては、2010年以降、急増しており、現在の名目残高は7,520億米ドル(約78兆円)。これはアジア太平洋地域の社債全体の30%に相当し、米ドル建てでは38%を占める規模になっている。とりわけ金融機関のオフショア発行が50%と多く、そのうち不動産ファイナンスを使途とするものが45%を占める。非金融機関では、エネルギー、工業、電力、通信だけで75%を占めている。投資家サイドでは、ポートフォリオの分散化と高いリターンのために中国のオフショア債券は人気を博しているとした。
一方、オンショア発行では、残高は15兆米ドル(約1,560兆円)という巨大な規模にまで成長しており、米国に次いで世界第2位の規模。社債の規模は、金融機関債が3.7兆米ドルで、非金融機関債が2.1兆米ドルで、合計5.8兆米ドル。海外の投資家も、中国のオンショア債券への投資を増やしているが、国債や政府系銀行による機関債への投資が中心で、市場全体での海外投資家の比率はわずか3%。社債に限ると1%ほどしかない。
ICMAは、5.8兆米ドルの中国のオンショア社債市場に海外投資家が投資するには、規制等の面で非常に多くのハードルが残っているものの、中国の債券市場は国際化していく方向にあり、将来、開かれた市場になっていくとの見方を示した。
【参照ページ】The internationalization of the China corporate bond market – new report from ICMA
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