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【韓国】ポスコ、グリーンボンド転換社債で1400億円調達。水素やスラグ肥料も事業強化

 製鉄大手韓国ポスコは8月13日、グリーンボンド型転換社債をユーロ建てで11億ユーロ(約1,400億円)発行した。グリーンボンド型転換社債の発行は韓国初。転換社債としても韓国での最大発行額。年限は5年。利率は0%。イールドは-0.78%でマイナス金利社債。

 同社は、2019年7月に同社初のESG債(サステナブルボンド)としてサステナビリティボンドを5億米ドル(約550億円)発行。その際に、「サステナブルファイナンス・フレームワーク」を策定し、Sustainlayticsからセカンドオピニオンを取得している。

 同フレームワークでの資金使途は、環境分野が、電気自動車(EV)バッテリー用の炭酸リチウムや炭酸リチウムの生産と、再生可能エネルギー発電所の建設と関連設備生産。社会分野が、中小企業向けファイナンス、スタートアップ投資による雇用創出、社会的支援が必要な人々への研修や就労支援。但し、社会分野でも、化石燃料、原子力発電、たばこ、武器、大規模水力発電、森林破壊を伴うバイオマスの分野は、対象から除外している。

 今回発行のグリーンボンド型転換社債の発行価額は、現状の株価より約45%もプレミアムが付く価格となった。また、バッテリーや水素ビジネスに向けた事業成長としても、今回の資金使途を活用したいとしている。

 同社は8月12日には、韓国電力公社(KEPCO)子会社の韓国水力原子力(KHNP)との間で、ポスコの製鉄所から発生する副生水素で、燃料電池発電を行う覚書を締結した。光陽市に発電所を建設し、光陽市に供給する。KHNPが燃料電池発電の開発技術と運用ノウハウを提供する。ポスコは、年間副生水素を7,000t生産しており、そのうち約3,500tを製鉄プロセスや発電用に使用している。今回の燃料電池発電プロジェクトにより年間28tの二酸化炭素排出量を削減できるという。

 さらに同社は8月12日、韓国農業振興庁所管の農業技術実用化財団との間で、韓国の農業ベンチャーの発掘・育成と、製鉄副産物のスラグを利用した「ケイ酸肥料」の海外販売で協力する覚書も締結した。ポスコ子会社のPOSTECHやRISTともに「ポスコ・ベンチャー・プラットフォーム」を立ち上げた。

 スラグを利用したケイ酸肥料は、スラグを乾燥・粉砕して顆粒状にしたもの。稲の光合成を促進し、茎を強化して収穫量を増やす効果がある。また、肥料に含まれるアルカリ分が土壌の酸性化を防ぎ、水田から排出されるメタンを鉄イオンが15%から20%削減する効果がある。しかし、韓国国内のコメ消費量減少により、ケイ酸肥料の国内需要が低下したため、海外進出を強化する。まずは、2020年末にミャンマーにあるポスコ事業所の周辺コメ農家に、無償配布する。

 さらに同社は8月2日、豪鉄鉱石採掘ロイヒルとの間で、水素還元方式によるHot Briquetted Iron(HBI)製造の共同研究のための覚書も締結した。ロイヒルが採掘した鉄鉱石と、ポスコの水素還元製鉄技術を組み合わせ、HBI生産システムを開発する。また、オーストラリアでグリーン水素の製造拠点を建設することや、ブルー水素生産のための炭素回収・利用・貯留(CCUS)技術も共同検討する。ポスコは、ロイヒルの株式12.5%を保有しており、年間1,600万tの鉄鉱石を購入している。

 同社は7月24日には、浦項と光陽にあるポスコのパートナー企業90社以上の労使代表で構成された「パートナー企業Win-Win協議会」との間で、「ポスコ-パートナー企業Win-Win発展の共同宣言」を発表。ポスコが、取引先企業の従業員の安全な労働環境の構築、賃金格差の是正、福利厚生の改善等を支援することを宣言した。

 同宣言では、同協議会加盟企業は、2020年中に浦項市と光陽市に「共同労働福祉基金」を設立し、ポスコが資金を拠出。従業員の子供向けの奨学金制度や、福利厚生サービスを提供する。これにより加盟企業の従業員16,000人が恩恵を受ける。

 ポスコの取引先企業向けアクションでは、2018年に3年間の事業協定を締結し、大企業と中小企業の賃金格差是正に向けて動いてきた。過去3年での資金拠出は7,771億ウォン(約720億円)で、「共同職場保育所」も運営。ポスコは2020年初頭には、取引先企業の労働安全衛生支援部門も立ち上げている。

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【参照ページ】POSCO moves forward to become a 100-year company with the partner companies through win-win development.

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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