米ジョー・バイデン大統領は10月18日、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)規制を強化する政策を発表した。10月5日には、カリフォルニア州では先んじて、PFASを食品容器・包装に使用することを禁止する州法AB1200が成立している。
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【参考】【アメリカ】カリフォルニア州、食品包装でPFAS使用禁止。調理器具での有害物質の開示義務も(2021年9月13日)
【参考】【アメリカ】カリフォルニア州、サーキュラーエコノミー化を大幅強化する一連の州法が成立(2021年10月10日)
同政策では、米環境保護庁(EPA)はまず、PFASの発生源での管理、汚染者の責任追及、科学的根拠に基づく意思決定の確保、支援が必要な地域社会への影響への対応等、2024年までの具体的な行動を示した包括的なロードマップを作成する。特定のPFASを、包括的環境対応・補償・責任法(CERCLA)での危険物質として指定することも検討中。
またバイデン大統領は、「超党派インフラ・ディール」政策の中でも、PFASを含む汚染物質に対処するため、100億米ドルの補助金を盛り込んでいる。財源は、「State Revolving Funds」と「Small and disadvantaged Community Program」を活用する。さらに、バイデン大統領の「Build Back Better Agenda」には、EPAが「Unregulated Contaminant Monitoring Rule」プログラムを通じ、飲料水に含まれる29種類のPFAS化合物のモニタリングを全国で実施するための予算も盛り込んでいる。
国防総省(DOD)でも、PFASが使用された、あるいは放出された可能性のある約700の国防総省施設および州兵拠点で、PFAS浄化評価を実施中。2023年末までにすべての初期評価を完了する予定。DODは、PFASの検出、処理、破壊に特化した国内最大の研究開発プログラムを管理しており、1億5,000万米ドル以上の予算を投下。PFASを含まない代替消火剤の開発にも7,000万ドルを投じている。
食品医薬品局(FDA)では、食品からのPFASへの食事暴露を推定する作業を大幅に進めるため検査を拡大する。今後3年間で、PFAS汚染が疑われる地域で、食品に影響を与える可能性がある場合には、州と協働し、PFAS分析を促進する。FDAは、州に対し、検査実施のための技術支援も実施。
農務省(USDA)では、食料システムにおけるPFASの原因と影響を調査する。さらに、動物や人間の健康での調査も進めている。米国農務省の食品安全検査局は、食肉・食鳥製品中のPFASを検査するための分析法を開発し、展開中。
米国国土安全保障省(DHS)は、消防用泡沫消火剤等でのPFAS含有物質への使用、水源汚染の可能性等、PFASの使用状況や施設からの過去の放出について、初の大規模調査を実施する。連邦緊急事態管理庁(FEMA)でも、消防用泡沫消火剤等のPFAS対策を進める。FEMAは、アリゾナ大学に150万米ドルを助成し、消防士のPFASへの曝露程度と健康影響の研究も開始した。
保健福祉省は、PFAS曝露の健康への影響に関する情報を提供する8つの州で、疾病予防管理センター(CDC)と、有害物質・疾病登録局(ATSDR)による研究を継続。5月には、曝露に関する大規模調査の最終報告書を発表。さらに、ATSDRは、EPAと協力し、飲料水以外の重要な曝露源を特定するために、曝露評価の一環として収集した環境測定値を拡大する。
【参照ページ】FACT SHEET: Biden-Harris Administration Launches Plan to Combat PFAS Pollution
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