EU理事会4月8日、ロシアに対する第5次経済制裁パッケージを決定した。G7諸国とEUは前日、ロシアのウクライナ侵攻及びブチャでの残業行為を強く非難し、追加の経済制裁を課す共同声明を発表。フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が4月5日、第5次制裁の内容を提案していた。
【参考】【アメリカ・ロシア】米政府、ロシア経済制裁を追加。ズベルバンク取引禁止、ロシア領内投資禁止(2022年4月7日)
【参考】【国際】G7外相会合、ロシア経済制裁の追加措置宣言。「ロシアのエネルギーへの依存を低減」(2022年4月9日)
第5次経済制裁の内容は、全部で6つの内容で構成。
まず、ロシア産石炭の輸入禁止。EUは一般炭(石炭)輸入の約7割がロシア産で、EU域内に大きな影響となる。一方、ロシアの石炭輸出の4分の1がEU向けで、今回の決定で、ロシアにとっても年間約80億ユーロの減収となる。また、欧州委員会と欧州経済共同体(EEAS)は、石油輸入も含む制裁措置の追加提案も検討していることを明らかにした。
2つ目は、VTB、ノビコンバンク、ソフコムバンク、オトクリティエバンクのロシア銀行4行の取引禁止と資産凍結。4行でロシアの銀行シェア23%を占める。さらに、ロシアに対する暗号資産サービスの提供も禁止。ロシアの富裕層に対する信託サービス提供も禁止した。
3つ目は、ロシアとベラルーシの貨物輸送事業者のEU域内での操業を全面禁止。但し、農作物、食料、人道支援、エネルギーは禁止から除外した。ロシア船籍の船舶のEU域内港への入港も禁止。但し、医療、食品。エネルギー、人道支援等は禁止から除外した。
4つ目は、ロシアからの量子コンピュータ、先端半導体、精密機械、輸送、化学等の関連製品のEU域内も禁止。ロシア輸出のEU依存度が高い製品を対象とする。総額100億ユーロ(約1.2兆円)にもなる。ロシア軍が使用する可能性のあるジェット燃料と燃料添加剤の輸出も禁止した。
5つ目は、ロシアからのセメント、ゴム製品、木材、ウォッカを含む蒸留酒、酒類、キャビアを含む高級魚介類、ベラルーシからのカリの輸入を禁止。迂回防止策も導入する。総額55億ユーロ相当の輸入禁止となる。
6つ目は、ロシアの個人と法人のEU調達契約への参加を全面禁止。但し、実行可能な代替案がない場合は例外的に認める。また、EU、欧州原子力共同体(ユーラトム)、EU加盟国のプログラムの下でのロシアの公的所有または支配下にある法人への財政的および非財政的支援を制限。既契約分も支払いを停止する。デュアルユース品目および先端技術に関する輸出規制と他の規定との間の様々な重複にも対処。銀行券の輸出および譲渡可能な証券の売却の禁止を、すべてのEU公式通貨に拡大する。その他、新たに個人217人、法人18を制裁対象に追加。ドネツク共和国とルハンスク共和国の政府及び議会のメンバー179人全員も含まれた。
欧州委員会によると、同様の制裁措置を発動しているのは40ヶ国以上。日本政府も4月9日、類似に制裁を発表している。
【参考】【日本・ロシア】政府、追加ロシア経済制裁発表。石炭輸入禁止。ロシアへの新規投資禁止等(2022年4月9日)
【参照ページ】Ukraine: EU agrees fifth package of restrictive measures against Russia
【参照ページ】Press statement by President von der Leyen on the fifth round of sanctions against Russia
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