ANAホールディングスは8月1日、2050カーボンニュートラル実現に向けたトランジション戦略を発表した。2030年をピークに排出総量の削減段階に入り、2050年までにカーボンニュートラルを実現する。燃料の大改革を進め、削減自体を進める。
同社今回、「運航上の改善・航空機等の技術革新」「SAFの活用等航空燃料の低炭素化」「排出権取引制度の活用」「ネガティブエミッション技術の活用)」の4つの戦略的アプローチを示した。
(出所)ANAホールディングス
ベースとなる「運航上の改善・航空機等の技術革新」によるエネルギー効率の改善では、各運航の段階に合わせた燃費改善、国土交通省と連携した航空交通システムの革新、次世代低炭素機材の導入を掲げた。地上運航時の電気走行や空港停泊時のエネルギー電化等まで含めた言及はなかった。
戦略の中核となるSAF(持続可能な航空燃料)の導入では、2030年に10%以上をSAFに転換する。SAF活用を促進するため、貨物輸送や社員の出張等でスコープ3削減に寄与する「SAF Flight Initiative」の普及にも期待を寄せた。SAF生産の拡大では、2022年4月に発足した「SAFの導入促進に向けた官民協議会」を主軸に検討を進める。
一方、現時点では、水素駆動航空機や電動航空機の導入は「戦略に含んでいない」と明言。但し、エアバスやボーイングとの間で覚書を交わし、航空機メーカーと水素や電動航空機の検討を進めていることは付言した。
排出量取引制度の活用は、すでに国際的な制度としてCORSIAが誕生しているが、「一時的な措置」とし、暫定的に活用する。2050年度までには排出量購入に頼らない状態とする。一方、直接大気回収(DAC)等のネガティブエミッション技術の活用による「除去」は積極的に進める。ネガティブエミッション技術の開発そのものにも関与するのか、ネガティブエミッション型のカーボンオフセットを購入するのみかは不明。
同社は今回、上記の戦略を実現するために資金調達を積極化するため「グリーンボンド・フレームワーク」を策定したことも発表。セカンドピニオンは、日本格付研究所(JCR)が付与した。資金使途は、SAFの購入、SAFの調達量拡大のための投資、ネガティブエミッション技術活用のための投資。
【参照ページ】2050カーボンニュートラル実現に向けたトランジション戦略を策定
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