インデックス開発世界大手米S&Pグローバルは2月7日、2023年版「Sustainability Yearbook」を発行した。RobecoSAMは毎年世界大手企業にESGに関する調査票を送付し、回答をもとに企業のESG評価「Corporate Sustainability Assessment(CSA)」を行ってきたが、2019年に同事業はS&Pグローバルに売却。CSAは毎年、金融インデックス開発世界大手米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのDJSI(Dow Jones Sustainability Indices)のスコアとして用いられている。
【参考】【国際】S&Pグローバル、2022年版Sustainability Yearbook発行。ゴールド獲得日本企業4社 (2022年2月7日)
【参考】【国際】S&Pグローバル、2021年版Sustainability Yearbook発行。ゴールド獲得日本企業6社 (2021年2月12日)
Sustainability Yearbookは、CSAの結果概要をまとめたもので、各業界の評価トップ15%の社名が掲載される。さらに60点以上かつ上位1%の企業には「ゴールド」、57点以上で上位5%以内の企業には「シルバー」、54点以上で上位10%以内の企業には「ブロンズ」が付与される。今年は7,800社以上が調査対象となり、Sustainability Yearbookに掲載されたのは708社。そのうち85社がゴールド、82社がシルバー、79社がブロンズを獲得した。
CSAの評価手法は、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)とともに、企業の長期的に成長するためのイノベーションや市場成長等の経済的な側面もチェックされる。詳細の設問や評価ウエイトは業界ごとに異なる。2016年からは、政治献金や業界団体寄付金等公共的団体との関わり方、社会インパクト評価の実施等に関する要素も追加された。
また今回、Sustainability Yearbookでの評価方法とS&PグローバルESGインデックスの企業選定の整合性を高めるため、除外審査プロセスを追加。2022年版「Sustainability Yearbook」で検討されてきたタバコ、航空防衛、石炭・消耗燃料などの産業が対象から除外された。
各業界のゴールド獲得企業
- 総合電機:SK(韓国)、シーメンス(ドイツ)
- 自動車:現代自動車(韓国)
- 自動車部品:ピレリ(イタリア)
- 産業機械:CNHインダストリアル(米国)
- 民生電子機器:LG電子(韓国)
- 通信機器:シスコシステムズ(米国)
- コンピューター・周辺機器および事務用電子機器:HP(米国)
- 電子装置・機器・部品:デルタ電子(台湾)
- 電気部品・設備:シュナイダーエレクトリック(フランス)
- 半導体:ASE(台湾)、UMC(台湾)
- 化学:PTTグローバル・ケミカル(タイ)
- エネルギー設備・サービス:サイペム(イタリア)
- 石油・ガス採掘:タイ・オイル(タイ)
- 石油・ガス貯蔵・輸送:ウィリアムズ(米国)
- 石油・ガス精製・販売:ガルプ・エナージア(ポルトガル)
- 建設関連製品:オーウェンス・コーニング(米国)
- 鉄鋼:現代製鉄(韓国)
- 金属鉱業:ニューモント・マイニング(米国)
- アルミニウム:ヒンダルコ・インダストリーズ(インド)
- 建設資材:サイアム・セメント・グループ(タイ)
- 医薬品:中外製薬(日本)
- バイオ:アッヴィ(米国)
- 医療機器・用品:アボット・ラボラトリーズ(米国)
- 消費財:LG H&H(韓国)
- 家庭用品:レキットベンキーザー(英国)
- 家庭用耐久財:アルチェリッキ(トルコ)
- 食品:タイ・ユニオン(タイ)
- 飲料:コカ・コーラ HBC(スイス)、タイ・ビバレッジ(タイ)
- アパレル:モンクレール(フランス)
- 紙・木材:UPMキュンメネ(フィンランド)
- 容器・包装:クラビン(ブラジル)、SCGパッケージング(タイ)
- 商社:伊藤忠商事(日本)
- 住宅:住友林業(日本)
- 建設・土木:CTCI (台湾)
- 不動産:GPTグループ(オーストラリア)
- 専門サービス:SGS(スイス)
- 商業用品・サービス:ブランブルス(オーストラリア)
- 金融サービス・資本市場:S&Pグローバル(米国)
- 銀行:イーサン・ファイナンシャル・ホールディング(台湾)、ファースト・ファイナンシャル・ホールディング(台湾)、ハナ金融グループ(韓国)
- 保険:AXA(フランス)、ゼネラリ保険会社(イタリア)
- ソフトウェア:SAP(ドイツ)、テメノス(スイス)
- ITサービス・インターネット:インドラ・システマス(スペイン)、テックマヒンドラ(インド)
- 通信サービス:ドイツ・テレコム(ドイツ)、トゥルー・コーポレーション(タイ)
- 電力:テルナ(イタリア)
- ガス供給:イタルガス(イタリア)
- 公益事業・水道:ヘラ(イタリア)
- メディア:VGI(タイ)
- ホームエンターテイメント:カカオ(韓国)
- 交通および交通インフラ:BTSグループ(タイ)
- 航空輸送:チャイナエアライン(台湾)
- 小売:ホーム・プロダクト・センター(タイ)
- 食品・生活必需品小売:ベルリ・ユッカー(タイ)
- 飲食・レジャー:ヤム・チャイナ・ホールディングス(中国)
- ホテル・リゾート・クルーズ:メリア・ホテルズ・インターナショナル(スペイン)、アセット・ワールド・コープ(タイ)
- カジノ・ゲーム:ラスベガス・サンズ(米国)
- 医療サービス:ユナイテッドヘルス・グループ(米国)
- 医療機器・サービス:イルミナ(米国)
国別数では、タイが12社で首位。2位は米国の11社。3位は台湾とイタリアの7社。その後、韓国が6社、ドイツ、スイスと日本が3社。日本は前年の4社から減退した。
シルバー獲得の日本企業
- コニカミノルタ
- リコー
- Zホールディングス
- 花王
- 積水ハウス
- オリンパス
- NTTデータ
- 資生堂
- オムロン
- 三井物産
- 双日
ブロンズ獲得の日本企業
- ソフトバンク
- 野村研究所
- ナブテスコ
- 本田技研工業
- シスメックス
- 日本航空
- ブリヂストン
- 積水化学工業
- 横河電機
- NEC
- 日清食品
- ANAホールディングス
- TOTO
- 三菱化学
また、前年の調査から大きく改善し業界内上位15%に入った企業には「Industry Mover」のタイトルが付与された。
【参照ページ】The Sustainability Yearbook - 2023 Rankings
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