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【EU】EU理事会、新車販売で2035年CO2ゼロを最終決定。EU法成立。eFuel詳細は今後議論

 EU理事会は3月28日、自動車とバンの二酸化炭素排出量基準を引き上げるEU規則を採択した。2035年以降は自動車とバンの双方で新車販売を二酸化炭素排出量ゼロの車両に限定することが決まった。同EU規則は2月14日に欧州議会を通過しているため、同規則は成立。官報掲載の20日後に発効する。

【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、新車販売2035年ゼロエミッション化で政治的合意。今後法制化(2022年10月29日)

 同規則では、中間目標として、自動車とバンの新車販売で、2030年から2034年の排出量を自動車は2021年比55%減、バンは同50%減とすることも決定した。2025年から2029年までは、ゼロ・低排出ガス車(ZLEV)に対するインセンティブ制度も導入される。具体的には、自動車メーカーがZLEVの販売で一定の閾値を達成した場合、補助金を受け取ることができる。閾値は、自動車で25%、バンで17%に設定された。

 また、自動車での二酸化炭素排出量を検証可能な形で削減するエコイノベーションに対し、メーカーが受け取ることができる排出権の上限を、現行の年間7g/kmから、2030年から2034年まで最大で年間4g/kmにまで段階的に引き下げることも決まった。

 同規則の適用が除外される小規模事業者に関しても、除外範囲が縮小される。2035年までは、自動車の新車販売が1,000台以上10,000台未満、バンの新車販売が1,000台以上22,000台未満のメーカーは適用除外だが、2036年以降は適用対象となる。

 合成燃料(eFuel)に関しては、ドイツ政府から容認を認める強い主張があった。ドイツ自動車工業会(VDA)のヒルデガルト・ミュラー会長は2月14日、欧州議会で同規則が可決され、2035年以降に内燃機関自動車の禁止が決まった際に、反発する声明を発表。「技術にオープンで、イノベーションに友好的な消費者・産業政策に反する決定だ」「2035年以降も、世界中で内燃機関が必要とされる」と批判していた。欧州で2.8億台、世界では15億台の内燃機関自動車が現時点であることを踏まえ「合成燃料が不可欠」と主張していた。

 VDAの意向も受け、ドイツ政府は、欧州委員会に対し、同規則でのeFuelの扱いについて明確にするよう主張。VDAのミュラー会長は3月1日、「eFuelの貢献度に関する議論が今再開することは適切なこと」とコメント。「VDAは、eFuelのような再生可能燃料が、既存の自動車への燃料供給において、すべての道路交通の脱化石化に貢献することができると長年提唱している」「eFuelは、電動化の普及を促進するための重要な補助燃料でもある」と主張し、eFuelを同規制で排除しないようあらためて求めた。また、EU理事会が2022年夏の時点で、証明を取得したeFuelについては走行が可能となる立場を決定したことを挙げ、欧州委員会も同様の立場を採るべきとしていた。

 これを受け、同規則では、「CO2ニュートラル燃料」のみで走行する車両を2035年以降も禁止されずに新車登録を認める政策を欧州委員会が提案するという文言を盛り込んだ。そのため、2030年以降の自動車とバンの排出量削減目標については改めて議論すべきという見解も記載されている。

 加えて、同規則には、2035年の100%排出削減目標の達成に向けた進捗状況を欧州委員会が、徹底的に評価し、2026年に見直しの必要性を判断するという条項も入った。プラグインハイブリッド技術(PHV)を含む技術的発展や、ゼロエミッションに向けた実行可能で公正な移行(ジャスト・トランジション)を実現可否について評価される。

 今回、eFuelの禁止までは踏み込まず、棚上げとなった形だが、本格的な議論はここからはじまると言える。同規則には、eFuel、電気、水素のいずれのエネルギーに関しても、欧州委員会がライフサイクル全体の排出量を評価するためのEU共通の手法を開発することも盛り込まれている。次の議論の焦点はこの場となる。

 VDAのミュラー会長は、EU理事会での事前合意が報じられた3月27日にも声明を発表。「電動化が輸送での気候目標を達成するための中心的な技術であることに変わりはない。しかし、e-fuelsはその選択肢の重要な拡張となる」とコメント。「eFuelの貢献の可能性を前向きに考慮した合意とタイムテーブルを見出したことは、気候の利益につながる」と歓迎した。一方、「合意の最終的な詳細は今後評価される」とし、最終評価は保留した。

【参照ページ】‘Fit for 55’: Council adopts regulation on CO2 emissions for new cars and vans
【参照ページ】Fit for 55: zero CO2 emissions for new cars and vans in 2035
【参照ページ】From 2035 only CO2-free new cars – VDA on the decision of the EU Parliament
【参照ページ】E-Fuels: EU Commission must ultimately submit a proposal for regulation
【参照ページ】Document ST_6740_2023_REV_3

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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