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【日本】経産省と環境省、カーボンフットプリントガイドライン発行。算定ルールを明確化

 経済産業省は3月31日、カーボンフットプリント(CFP)に関連する政策対応の方向性を明示するレポート「カーボンフットプリントレポート」を発行。また環境省と連名でカーボンフットプリントの算定及び検証に関するガイドライン「カーボンフットプリントガイドライン」を発行した。

 同レポートは、ISO140671に基づき、CFP「気候変動への影響に関するライフサイクルアセスメント(LCA)に基づき、当該製品システムにおけるGHGの排出量から除去・吸収量を除いた値を、CO2排出量相当に換算したもの」と定義。GHGプロトコルのような組織単位で算出ではなく、製品単位での算出と明記した。但し、スコープ3の算出で必要となるサプライチェーンのデータとしても考慮されている。

 同レポートは、欧米での最近の潮流を整理。「欧州をはじめとした海外では、戦略的にCFPの把握や排出量削減をしている企業もあり、⽇本の産業の競争⼒の維持・向上のためには積極的にCFPに取り組むことが不可⽋」とした。

 環境ラベルについても、第三者機関が運営する認証ラベル「タイプⅠ環境宣言」、企業が自主的に宣言する「タイプⅡ環境宣言」、ライフサイクル全体で包括的な分析で第三者機関が承認する「タイプⅢ環境宣言」という国際標準化機構(ISO)の分類にも言及。近年はタイプⅢ環境宣⾔に限らないCFPの算定・開⽰のニーズが拡⼤していると指摘した。

 CFPで多用される2次データのデータベースについても、⽇本で最も普及している産業技術総合研究所のIDEAは、輸⼊原材料や海外⼯場に関するデータが不足しており、IDEAは海外版データベースも整備しているものの、対象国はアジア中⼼の12カ国に限られている点を課題とした。他にも購入できるデータベースは多いが、個別に契約するにはコストがかかるとした。

 産業セグメント毎にも需要は異なり、化学や鉄鋼では客観性と正確性の双方を追求する傾向があるのに対し、自動車や電子電気では正確性のみの追求を求められている。アパレル、食品、消費財や中小企業では、比較的易しい手法で算定しようとする動きが出ている。

 そこで今回、経済産業省と環境省が発行した「カーボンフットプリントガイドライン」では、国際基準に整合するために全ての算定者に求められる「基礎要件」と、公共調達等の「比較されることが想定される場合」の追加的要件を整理した。

 基礎要件では、業界でデファクトスタンダードになっている算定を行うことを必須とはせず、自社で独自に算定ルールを作成することを許容した。これにより、幅広いセクターでCFPの算定が可能となる。一方、追加的要件には、まず、業界団体等で業界別算定ルールの策定を行うことを義務化した。

 また、基礎要件では、算出単位としては、最終製品の機能単位で定義することを必須とした。但し、中間製品であったり、機能単位での定義が困難な場合は、最終製品で想定される機能単位で定義する「宣⾔単位」でも可とした。バウンダリーについては、最終製品の場合は、製品原材料調達から廃棄・リサイクルまで(Cradle to Grave)、中間製品の場合は製品の原材料調達から製造(出荷)まで(Cradle to Gate)を基本としつつ、CFPを提供する相⼿や提供の⽬的を考慮し、選択可とした。また、原材料調達から廃棄リサイクルの各ステージの個別のプロセスにおいて、CFPへの影響が軽微だと想定されるプロセスについては、算定対象に含める必要がないものとして除外してもよいが、除外する理由とその影響を説明しなければならないとした。同様に、カットオフは可能な限り⾏わないことが望ましいとした。

 個別事案でも、基礎要件では、リユース・リサイクルを含めたCFPの算定では、国際的に基準が明確化されつつあることを念頭に置きながら、製品システムのバウンダリーを設定し、算定対象や配分⼿順について説明しなければならないとした。マスバランス方式での算定も許容した。土地利用変化による排出・吸収・除去を含めることは必須としつつ、土地利用については含めることを推奨した。

 使用データについては、基礎要件として、自社の所有または管理下にあるプロセスでは1次データの活用が必須。原材料や素材の排出係数は1次データを活用することを推奨した。それ以外は2次データで可だが、ライフサイクル全体に占める排出量の割合が大きい場合や、データベース値と実績値の乖離が大きいと推定される場合は1次データの利用を優先的に検討すべきとした。パスファインダー・フレームワーク第2版で規定された「1次データ⽐率(PDS)」にも言及した。

【参考】【国際】WBCSD、パスファインダー・フレームワーク第2版を発行。主に4つの内容を補強(2023年2月11日)

 CFPの算定では、外部から購⼊した電⼒及び熱について証書を活用することを可とした。一方、カーボンオフセットの活用では、カーボンオフセットを実施している旨を明確に⽰すことを課し、CFPの算出とは別に表示することを必須とした。安易に「カーボンニュートラル製品」として訴求することを不可とした。これにより、「カーボンニュートラルガス」にも十分な説明や表示が求められるようになるといえる。

【参照ページ】「カーボンフットプリントレポート」及び「カーボンフットプリントガイドライン」を取りまとめました

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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