国際エネルギー機関(IEA)は7月27日、世界の石炭市場の分析報告書を発表した。2022年の石炭の需要及び生産量はどちらも過去最高となり、2023年はさらに上回る可能性があると報告した。
同報告書は、2022年の世界の石炭市場に関して需要、供給、貿易、価格の4つの観点で分析し2023年の市場予測を示したもの。2022年の石炭需要は前年比3.3%増の83億tとなり過去最高を記録。2023年上半期の石炭需要は電力セクターで前年比1%増、非電力セクターで前年比2%増となり、全体で前年比1.5%増の約47億tだったと報告した。2023年通年での石炭需要は2022年より0.4%増加し過去最高を更新すると予測、2024年の石炭需要は2023年より0.1%減少しほぼ横ばいと予測した。
(出所)IEA
2023年の石炭需要の地域別の分析では、中国は前年比約3.5%増、インドは前年比約5%増、インドネシアは前年比36%増とアジアでの需要が増加。電力セクター、非電力セクターそれぞれで需要が増加し、2024年には中国、インド、インドネシアを含む東南アジア諸国を合わせた需要は、世界の総需要の76%を占める見通し。その他の地域では、米国は2023年上半期に前年比24%減、EUは2023年通年で前年比17%減、日本は2023年通年で前年比1.9%減、韓国は前年比2.8%減となる見込み。
(出所)IEA
2022年の世界の石炭生産量も、前年比8%増の86億tとなり過去最高を記録。2023年も生産量は増加し88億tを超え、過去最高を更新する見込み。国別では、中国、インド、インドネシア、オーストラリアが増加し、米国、EUでは減少する。中国とインドは2023年3月に過去最高の月間生産量を記録し、中国は史上2度目の月間4億t、インドは史上初の月間1億tとなった。世界最大の石炭生産国だった米国の現在の生産量は、2008年のピークと比較して半減した。
(出所)IEA
価格面では、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格への影響により2022年の石炭価格は高騰。2023年上半期は過去最高の供給量と天然ガス価格の下落により、2021年7月頃と同水準の価格に下落した。石炭価格の減少に伴い、2023年の世界の石炭貿易量は前年比7%以上増加し、2019年の13億tを超え、過去最高となる可能性があると報告した。
【参照ページ】Global coal demand set to remain at record levels in 2023
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