経済産業省電力・ガス取引監視等委員会は12月26日、関西電力株式会社に対し、電気事業法に基づく業務改善勧告を発出した。日本卸電力取引所(JEPX)の電力スポット市場での価格を釣り上げる行為が確認された。
今回の事案は、2022年12月26日、2024年9月20日、2024年9月21日の3日間、JEPX電力スポット市場で、本来意図していた入札量とは異なる内容での入札を複数回行い、一定の試算に基づくと、コマによっては30円/kWh程度スポット約定価格を上昇させていた。スポット市場の価格が釣り上げられると、新電力等での電力仕入れ価格が高騰し、需要家に大きな影響を与える。
過剰入札量は、本来予定していた買い入札量の最大約21.4倍もあった。システムプライスを最大27円/kWh程度も上昇させたことが確認された。当該コマにおいて適切な入札がなされた場合の関西エリアプライスの約定価格に比べて、約定価格を約2.5倍上昇させたと考えられるという。さらに、本来出力抑制が必要ない発電機を、出力抑制が必要なものと誤って認識し、出力抑制まで実施していた。これにより、約1.1GWhの余剰全量の市場供出を行っておらず、一定の試算に基づくと、上方に最大で2円/kWh程度価格を上昇させたという。
今回の業務改善命令では、再発防止に向けて必要な措置を速やかに講じる計画の立案を行い、2024年1月31日までに、同委員会に対し、当該計画、及び、同日までに講じた措置があればその内容を文書で報告することが課された。また、当該計画の進捗状況を定期的に当委員会に報告することも課された。
また是正措置として、誤入札が生じるリスクを最小化するための入札に係る体制の見直し、規程・マニュアル類の必要な改訂、さらには大規模発電事業者として市場に重大な影響を与えうる地位にあること、及び、卸電力市場の信頼性を低下させうる行為を防止すべき注意義務を負うことを認識した上で、役職員を含む社員の意識改革を図るための措置を採ることを命じた。
【参照ページ】関西電力株式会社に対する業務改善勧告を行いました
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