
EU加盟国閣僚級のEU理事会は5月30日、EUの持続可能な送配電網整備に関する政策文書を採択した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、2022年3月に緊急採択された「ベルサイユ宣言」を受け、エネルギー安全保障、カーボンニュートラル、レジリエンスを踏まえた送配電網整備の政策の方向性で合意した。
【参考】【EU】欧州理事会、ベルサイユ宣言採択。水素、再エネ、サーキュラーエコノミーを加速(2022年3月13日)
ベルサイユ宣言では、エネルギーの対外依存度を低減するため、化石燃料そのものへの依存度低減を加速させるとともに、欧州での再生可能エネルギーと水素市場の発展に注力。液化天然ガス(LNG)とバイオガスの調達ルートも多様化し、ガス貯蔵を強化することも決めた。そして、今回のテーマとなる欧州規模のガス・電力網の相互接続でも合意していた。
今回の合意では、欧州委員会に対し、送配電網の計画と導入がEUの気候・エネルギー目標に適合するよう、新たな政策枠組みを提案することを要請。さらに、欧州委員会に対し、欧州レベルの計画と各加盟国レベルの計画が十分に統合されたアプローチを確保するため、国境を越えたインフラの計画、選定、実施に関するEUレベルでのガバナンスの枠組みを改善するための課題を評価、特定し、必要であれば対策を策定することも求めた。
安全保障面では、サイバーセキュリティのリスク等、2022年以降直面している新たな脅威に対応するため、一連の協調的なエネルギー安全保障対策が必要と指摘。欧州委員会に対し、リスクへの備えを重視し、EUの対外国境に関連する特定のリスクを考慮に入れながら、各EU加盟国が電力供給の安全性を向上できるよう支援するよう求めた。また、インフラのレジリエンスを強化するため、EU加盟国に対し、ハイブリッドな脅威と重要インフラに焦点を当て、あらゆるレベルの主体との協力を強化するよう求めた。
実現に向けての投資増も強調した。まず欧州委員会に対し、送配電網に関する実際の投資ニーズについて、送電網のために割り当てられている資金と比較した情報を提供し、送電網インフラのための投資全体を増やす方法を模索するよう求めた。欧州投資銀行(EIB)に対しては、融資制度を通じ、送電網のさらなる拡張と近代化を支援することも求めた。
政策実行では、欧州委員会に対し、市民の関与を確保しつつ、エネルギー、自然、環境の一貫性にも留意しながら、送電網の許認可手続を加速化するための方策を特定するよう求めた。サプライチェーンリスクを下げるため、送電網部品の調達に関して、EU域内での部品製造を促進できる可能性を探ることも求めた。
【参照ページ】Sustainable electricity grids: Council approves conclusions
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