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【中国・アフリカ】中国政府、7.3兆円資金協力コミット。中国アフリカ協力フォーラム首脳会議

 中国政府は9月5日、北京市で、中国アフリカ協力フォーラム首脳会議(FOCAC)を開催。アフリカ諸国30カ国と戦略的パートナーシップを締結した。習近平国家主席は、アフリカに対し、今後3年間で3,600億人民元(約7.3兆円)の資金拠出を表明した。

 中国・アフリカ協力フォーラムには、台湾との国交のあるエスワティニを除く全てのアフリカ諸国53カ国が加盟。グローバル・サウスの盟主を自認する中国政府にとって、中国アフリカ協力フォーラムは欧米への対抗軸を築く上で重要な外交の場となっている。中国とアフリカ諸国の首脳会議では、2006年に北京首脳会議、2015年にヨハネスブルク首脳会議、2018年に首脳会議を開催しており、今回は6年ぶりの開催となった。その間も定期的に閣僚級会合が開催されている。中国とアフリカ諸国の合計で、世界人口の3分の1強となる28億人を誇る。

 今回の首脳会議では、中国とアフリカの今後3年間の行動計画「北京行動計画(2025-2027」を全会一致で採択。同首脳会議には、アントニオ・グテーレス国連事務総長も出席した。

 同行動計画では、中国政府の「一帯一路」「世界開発イニシアチブ(GDI)」「世界安全保障イニシアチブ(GSI)」「世界文明イニシアチブ(GCI)」と、アフリカ連合(AU)の「アジェンダ2063」の第2次10カ年実施計画、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を全面的に支持した。

 また、中国とアフリカの強力分野として、文明相互理解、貿易と繁栄、産業チェーン協力、コネクティビティ(接続性)、開発協力、健康・福祉、農業振興・人民利益、人文交流、グリーン開発、安全保障の構築の10大分野をカバーする「現代化のための中国アフリカパートナーシップ」を今後3年間で実施することを標榜。中国政府は、今後3年間で信用供与2,100億人民元(約4.2兆円)、各種援助800億人民元(約1.6兆円)、中国企業のアフリカ投資700億人民元(約1.4兆円)の合計3,600人民億元(約7.3兆円)の資金協力を約束した

 さらに、政治交流を活発化させ、中国政府はアフリカに対する軍事協力やサイバーセキュリティ強力を強化することでも合意した。双方は、世界的な核兵器の削減も支持するとともに、核兵器保有国に対し先制不使用を条約制定によって求めていくことでも一致した。一部の国による国際問題の独占、覇権主義、パワーポリティクスに反対し、すべての国が平等な権利、機会、ルールを実現すべきであると主張した。世界貿易機関(WTO)を中核とする多国間貿易体制を堅持し。開発を目指すことでも合意した。

 人権に関しても言及し、人権の発展は国民中心であるべきとし、各国はそれぞれの国情に即して人権発展の道を進み、グッドガバナンス、民主主義、人権の尊重、正義及び法の支配のアフリカを実現する権利を有するとの見解を表明した。腐敗防止の協力でも合意した。中小企業(SME)の発展及び協力のための政策指導及び情報サービスに対する支援も強化し,中国とアフリカの中小企業が経営陣の能力開発における協力を実施することも盛り込んだ。共同で鉱物サプライチェーンの安定を維持することも掲げた。

 農業に関しては、アフリカが輸入代替を達成し、農業生産性を向上させ、農業生産コストを削減し、農業産業チェーンを拡大することを支援するため、企業が市場志向の方法でアフリカにおける肥料、農薬及び小型農業機械の現地生産に参加することを支援。同時に、環境を重視した持続可能な農業・畜産業・観光業の発展を探求することでも一致した。その一環で、農法開発、節水灌漑、食品ロス削減、気候変動適応型農業の支援、自然災害の防止・削減の分野で、アフリカとの科学技術協力を強化する。漁業では、違法・無報告・無規制(IUU)漁業の撲滅等で協力する。アフリカは、食料安全保障の確保でも中国と協力する。中国がアフリカの農産物を中国に輸出するための「グリーン・チャネル」を設立し、98%の品目で関税をゼロにする。

 エネルギー分野では、中国は、アフリカでの太陽光発電、風力発電、グリーン水素、水力発電、地熱エネルギー等の再生可能エネルギープロジェクトへの投資を促進。火力発電を含む既存のエネルギー資源でも、市場原理に基づき適切な温室効果ガス排出削減技術を導入するアフリカを支援していく。送電網のアップグレードも支援する。

 インフラ開発では、双方は「一帯一路」協力の枠組みの下で、市場志向の方法を通じ、アフリカの高速道路、鉄道、物流、海外倉庫の分野で、中国企業の参加を促進。さらに、アフリカの港湾の建設と運営に中国企業が参加できるようにしていく。中国企業がアフリカの航空会社や空港運営会社に投資することも奨励。中国のテクノロジーを利用した輸送のグリーン転換も支援する。

 気候変動政策では、気候変動に対処する南南協力及び「一帯一路」協力の枠組みの下での協力で一致。ナレッジ移転やガバナンス、キャパシティビルディングを重視した。一方、欧米を念頭に、一方的な制裁措置やグリーン障壁には反対した。国際社会に対し、「衡平性,共通だが差異ある責任」及び「それぞれの能力」の原則を厳格に遵守するよう求めた。

 生態系政策では、中国側はアフリカ側に「一帯一路」グリーンイノベーション会議,「一帯一路」エコ環境保護人材共有プログラム,グリーン低炭素専門家ネットワーク及びグリーン低炭素専門家プログラムへの参加を要請。また、竹をプラスチック代替物として位置づけ、「中国・アフリカ竹センター」プロジェクトの建設を促進するとした。水資源分野でも双方の協力関係を強化する。生態系を保全して行う資源開発「グリーンマイニング」にも言及した。海洋分野ではブルーエコノミーでの協力も盛り込んだ。

 教育及び人材育成分野では、アフリカの科学技術人材1,000人の研修を中国側が受け入れる。30件の共同研究室プロジェクトも実施。デジタル人材育成1,000人、税務当局人材育成1,000人も掲げた。中国側は、アフリカでの孔子学院の発展を盛り込むことにも成功した。感染症対策でも中国側が支援を強化する。

 メディア政策では、中国はアフリカのメディアが「一帯一路」報道協力連盟に参加することを奨励。アフリカのラジオ・テレビメディアの能力構築を支援する。同時に、中国映画・テレビ番組の放送、中国・アフリカ映画サロン等の活動を行い、中国とアフリカのニュース・映画・テレビ関係者の交流訪問を組織するとした。

【参照ページ】Foreign Ministers of the Co-Chairs of FOCAC Jointly Meet the Press 【参照ページ】中非合作论坛—北京行动计划(2025-2027)

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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