【国際】IEA、エネルギー技術展望2024。2035年の市場規模は3倍の310兆円

　国際エネルギー機関（IEA）は10月30日、クリーンエネルギーに関する6つの技術の見通しに関して分析した報告書「エネルギー技術展望2024（ETP-2024）」を発表した。

　同報告書は、太陽光発電、風力発電、電気自動車（EV）、バッテリー、電解装置、ヒートポンプの6つのクリーンエネルギー技術に焦点を当て今後の見通しを分析したもの。鉄鋼やアルミニウム等のクリーンエネルギー技術に必要な主要鉱物に関する展望も示した。

　6つの技術の市場規模は、2023年の7,000億米ドル（約108兆円）から、2035年には原油の市場規模に匹敵する2兆米ドル（約310兆円）に増加すると予測。クリーンエネルギー技術の輸出入も大幅に増加し、2035年には現在の3倍以上の5,750億米ドル（約89兆円）に増加し、現在の天然ガスの世界貿易額の1.5倍以上に成長する模様。

　世界のクリーンエネルギー技術市場の中心としては、中国、EU、米国、インドが同市場のシェアを確立しさらに拡大する見込み。特に中国の市場規模は2035年には3,400億米ドル（約52兆円）に成長する。これはサウジアラビアとアラブ首長国連邦（UAE）の現在の石油輸出額に相当する。

　同報告書では、東南アジア、中南米、アフリカ等の新興国及び発展途上国の市場に関しても、60の指標で国別に分析。現在の新興国の市場シェアは5%以下だった。新興国市場への投資リスクは、政治や通貨、熟練労働者の不足、インフラの脆弱性等、複数存在している。

　しかし、重要鉱物の採掘や加工、ポリシリコンやウエハー等の材料、EVの安価な製造拠点として成長可能性が大きい。公正かつ公平な移行には、クリーンエネルギー技術のサプライチェーンを拡大し、多くの地域が経済的な利益を享受できるようにすべきだとした。

　クリーンエネルギー技術の貿易の拡大に伴う世界への影響も分析。化石燃料の輸入からクリーンエネルギー技術の輸入に転換することで、エネルギー供給のレジリエンスの向上、効率化をすることが可能とした。

　一方、クリーンエネルギー技術の海上貿易の約50%はマラッカ海峡を通過。化石燃料では最もシェアが高いホルムズ海峡でも20%にとどまっており、特定の貿易ルートに依存することはリスクが高いと分析した。

【参照ページ】Global market for key clean technologies set to triple to more than $2 trillion over the coming decade as energy transitions advance

株式会社ニューラル　サステナビリティ研究所