
アジア機関投資家の気候変動イニシアチブAIGCCは12月17日、気候変動緩和が遅れた場合、日本経済は9.2兆米ドルの経済損失を被り、GDPが大幅に減衰するとする報告書を発表した。
今回の分析は、「環境リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)」が発表したデータを活用し、AIGCCが実施したもの。気候変動による広範な経済的影響として、極端な気象現象に関連するコストと、労働、資本、土地、自然生産性に対する間接的なインパクトを計算した。
現行シナリオに基づくと、気候変動が進展し、日本のGDPを2030年時点で4%、2040年時点で7%、2050年時点で9%押し下げるものとなる。同様に、他のアジア諸国では、2030年時点で6%、2040年時点で10%、2050年時点で14%押し下げる。日本の下落幅は米国や欧州よりも大きい。
具体的には、現行シナリオでは、日本の年間GDPを2030年までに20.5兆円、2040年には40.1兆円、2050年までに64兆円が喪失。気候変動の緩和と、気候変動に関連する被害や混乱からの復興にかかる費用も、それに応じて増加する。想定為替は1米ドルあたり102円から105年程度に設定された。
生活水準も影響を受け、一人当たりの年間所得は、物理的リスクの影響を考慮すると、2030年までに約175,000円、2050年までに600,000円近く減少する。気候被害による国内総所得の損失は、現在から2050年の間に970兆円強となる。
その上で、ネットゼロ・シナリオで、日本がイノベーションリーダーとなり、ネットゼロへの転換を牽引した場合には、2050年までにGDPを1,300億米ドル(約13.6兆円)押し上げると分析した。
物理的コストの削減と、移行リスクによる押上げの双方の効果では、現行シナリオとネットゼロ・シナリオの間で、約3,800億米ドル(約40兆円)の差が出る。
AIGCCは、気候変動による経済的ダメージを最小限に抑えるためには、日本政府は2035年の温室効果ガス排出量目標を2019年比60%以上にすべきとした。
【参照ページ】気候変動による被害と物理的影響が、 現在の世界的な政策軌道を維持した場合、 日本の経済から9.2兆米ドルを消失させる可能性
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