
欧州委員会は2月26日、欧州産業の競争力と回復力を支援するための産業政策「クリーン産業ディール」を発表した。
フォン・デア・ライエン欧州委員長は、2024年11月日に実施した欧州議会本会議での施政方針演説の中で、2024年12月1日の就任後100日以内に欧州委員会で「クリーン産業ディール」政策を示すと伝えており、今回実際に公表した。
【参考】【EU】ライエン欧州委員長、2期目施政方針演説。イノベーション、脱炭素、経済安全保障を柱(2024年12月7日)
「クリーン産業ディール」は、脱炭素、再工業化、イノベーションの3つを柱とし、主にエネルギー集約型産業とクリーンテックの2つのセクターに焦点を当てている。
まず、エネルギー集約型産業にとって、課題となっているエネルギーコストの高騰に対しては、産業界、企業、家庭のエネルギー料金を引き下げるための「手頃なエネルギーに関する行動計画」を採択。クリーンエネルギーの普及と電化を加速し、EU域内の系統連系も強化。輸入化石燃料への依存を削減する。
また、産業脱炭素化促進法を制定し、公共調達及び民間調達の双方で、サステナビリティ、レジリエンス、メイド・イン・ヨーロッパの基準を導入し、EU製のクリーン製品に対する需要を拡大する。製品分野では、2025年の第1弾が鉄鋼、第2弾がセメント、その後、他の工業製品にも拡大し、任意の炭素原単位ラベルを開始する。また、公共調達では、2026年の公共調達枠組みレビューの中で、戦略的分野の公共調達に同基準を採用する。
クリーンテック産業の振興では、EU製のクリーン製造業を支援するため、EUのイノベーション基金を強化し、産業脱炭素化銀行を創設。さらに、EU二酸化炭素排出量取引制度(EU-ETS)の収入の一部の活用、InvestEU規則の改正を含め、1,000億ユーロ(約16兆円)以上を動員。その中には、現行の多年度財政枠組みによる10億ユーロの追加保証も含まれる。欧州投資銀行(EIB)は、送電網部品の製造業者に対するカウンターギャランティ等の軽減支援を提供する「送電網製造パッケージ」や、中小企業及びエネルギー集約型企業向けのが電力購入契約(PPA)に対するカウンターギャランティに関する欧州委員会とEIBの共同パイロットプログラムも新たに展開する。
重要原材料については、「EU重要原材料センター」を設立し、EU域内企業の需要を集約し、共同購入できる仕組みを構築する。2026年にサーキュラーエコノミー法を採択し、サーキュラーエコノミーへの移行を加速。2030年までに素材の24%を循環させることを目指す。
通商では、貿易協定の締結促進に加え、サプライチェーンを多様化し、互恵的な取引を構築するための初の「クリーンな貿易・投資パートナーシップ」を発足する。同時に、不公正な国際競争や過剰生産能力から守るための対抗措置も強化する。炭素国境調整メカニズム(CBAM)の簡素化も示した。
【参考】【EU】欧州委、オムニバス法案概要発表。CSRD、CSDDD、タクソノミー等で中堅中小企業負担軽減(2025年2月7日)
人材育成とスキル開発では「スキル同盟」構想を立ち上げ、EUの教育・文化・スポーツ関連プログラム予算「エラスムス+」から最大9,000万ユーロ(約140億円)を動員する。
欧州委員会では別途、3月に自動車産業に関するアクションプランを、春には鉄鋼と金属に関するアクションプランを発表することを予定している。化学及びクリーンテクノロジー産業についても、それぞれの分野に合わせたアクションプランを策定する予定。
【参照ページ】A Clean Industrial Deal for competitiveness and decarbonisation in the EU
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