
ニューヨーク市のブラッド・ランダー財務長官は4月22日、同市が管理する3つの公的年金基金に関し、上場アセットクラスの委託先運用会社に義務化する気候変動要件を明確にした。基準を満たさない運用会社への委託分は解除され、新たに委託先を選定する。
ニューヨーク市財務長官室は、ニューヨーク市職員退職年金制度(NYCERS)、ニューヨーク市教員退職年金制度(TRS)、ニューヨーク市警察年金基金(POLICE)、ニューヨーク市消防年金基金(Fire)、ニューヨーク市教育委員会退職年金制度(BERS)5つの公的年金基金を所管しており、合計の運用資産は2,850億米ドル(約40兆円)。米国の公的年金基金では4番目の規模。
ブラッド・ランダー市財務長官は2022年、NYCERS、TRS、BERSの3つに対し、「ネットゼロ実行計画」を策定し、2025年6月30日までに市財務長官室にネットゼロ計画を提出することを義務付けている。その中で、上場アセットクラスの委託先基準も設けている。今回の発表は、委託先基準の最低要件を明確化した形。
まず、委託先運用会社の必須基準として3つを設定した。
- ポートフォリオのカーボンニュートラル化だけでなく、実経済のカーボンニュートラル化を促進するためポートフォリオ企業にエンゲージメントする
- 気候変動関連の重要なリスクと機会を投資意思決定に組み込む
- カーボンニュートラル化を進めるため、エンゲージメントと議決権行使の優先順位付けとエスカレーションを扱う堅固で体系的なステワードシップ戦略を確保する
次に委託先運用会社が全ての投資先企業を対象に実施するエンゲージメント内容についても最低基準も定めた。
- スコープ1と2、及び重要なスコープ3の排出量を測定し報告する
- スコープ1、2、3の排出量を削減することでネットゼロを達成するための明確な目標を設定する
- ネットゼロ達成のための明確な移行計画(トランジションプラン)を策定し、短期、中期、長期の気候目標を達成するための方法を詳細に説明する
- 将来の資本支出とロビーイングを気候目標・ターゲットと一致させる
- 低炭素ビジネスモデルへの移行が従業員と地域社会に与える影響を考慮する(公正な移行;ジャストトランジション)
策定が義務化されている3つの公的年金基金のネットゼロ計画では、化石燃料排出量の開示、委託先運用会社や投資先企業との戦略的エンゲージメントによる脱炭素化推進、再生可能エネルギーと気候変動対策への投資の大幅拡大、リスク削減に失敗した企業からの投資撤退(ダイベストメント)等が含まれている。
今回、ブラッド・ランダー市財務長官は、「トランプ政権が気候変動対策の進展を体系的に後退させている中、毎年、気温が上昇し、災害が増加する状況下で、ニューヨークのような都市は前進を続けなければならない」と説明した。
【参照ページ】As Trump Assaults Climate Progress on Earth Day, Comptroller Lander Pushes Forward Toward Net Zero
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