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【アメリカ】ホワイトハウス、大型減税「One, Big, Beautiful」法案の成立に躍起。反対根強く

 米大統領府(ホワイトハウス)は5月19日、20日、大型減税法案「One Big Beautiful Bill Act」の成立に意欲を見せた声明を発表した。米国は同法の成立に向け一致団結する必要があると呼びかけている。一方、同法による財政悪化を懸念し、信用格付世界大手米ムーディーズは5月16日、米国債を格下げしている。

 同法案は1,116ページにも及ぶ膨大な内容。連邦下院予算委員会での審議でも、第1回目の採決で反対多数となり、5月17日にようやく賛成17、反対16のギリギリで通過した。一部の共和党議員から反対の声が上がっており、5月20日にはトランプ大統領は連邦議会議事堂を訪れ、反対している共和党議員と面会し、説得を行う場面もあった。だが、反対の姿勢は覆っていないようで、トランプ大統領は当該共和党議員に対し、「彼らはもはや共和党議員ではないだろう」とコメントしたとも報じられている。

 同法案では、まず、第1期トランプ政権が成立させた2017年の「減税・雇用法(TCJA)」に基づく個人所得税や法人税の減税や所得控除額の引上げを恒久化。さらに、外食でのチップ所得や残業代の所得に対し、所得税を非課税にする。また州・地方税控除の上限額も10,000米ドルから30,000米ドルに引上げ、第2期トランプ政権下で生まれた子供に対しては、政府が1,000米ドルを拠出する貯蓄口座「通称MAGA口座」を創設するというもの。

 これらの措置による歳入減は、4.9兆米ドル(約700兆円)と言われており、予算赤字をさらなる連邦政府歳出の削減で賄う考えを示している。具体的には、低所得者向け医療保険制度メディケイドの受給資格を厳格化するとともに、補助的栄養支援プログラム(SNAP)等の社会保障予算も削減する。さらに、ネバダ州やユタ州等に保有している広大な連邦政府所有地(主に環境保護地)を売却する。

 また同法案では、再生可能エネルギー補助金を削減しつつ、石油・ガス向けの開発促進補助金を増額。さらに、国防予算を1,500億米ドル増額し、無人航空機やミサイル防衛システムの強化することや、国境の壁の建設に500億米ドルを投じ、移民・関税執行局(ICE)や国境警備隊の人員を増強する歳出増施策も盛り込まれている。

 同法案を支持している共和党議員は、大幅減税により財政赤字が拡大したとしても、現状の連邦政府国債発行残高と比べれば、大きな水準ではなく、懸念する必要はないと主張してきた。しかし、ムーディーズは5月16日、「現在検討されている財政案では、複数年にわたる義務的歳出と財政赤字の大幅削減は実現しないと思われる。今後10年間は、政府歳入がほぼ横ばいのまま歳出が増加し、財政赤字が拡大すると予想される」とコメントし、国債の長期発行体格付とシニア無担保格付信用格付を、最高位のAaaからAa1へと1ノッチ引下げた。

 また同法案に反対している民主党や一部の共和党議員の間では、格差の縮小ではなく、むしろ格差が拡大するとの懸念が根強い。具体的には、2017年のTCJAでは、法人税率を35%から21%に引き下げており、税額控除も多くなることで、大企業や投資家、高所得者層にとって有利となる一方、社会保障費が大きく削減されることで低所得者が切り捨てられるとの主張がある。

 同法案は、没落中間層からの熱烈な支持を獲得するため、高所得者層の反発も抑えながら、低所得者層(主に新しい移民やマイノリティ)を切り捨てていく政策とも言える。また、財政悪化によるインフレも同時に懸念される。

 米国連邦議会での法案審議では、特に上院での「フィリバスター(議事妨害)」を突破するには、全100議席のうち60票以上の賛成が必要となる。共和党と民主党の議席が拮抗している近年では、フィリバスターを突破することは難しく、超党派での法案成立が事実上不可欠となっている。但し、予算関連法案については、予算調整(Budget Reconciliation)制度が設けられており、60票ではなく51票の単純過半数で可決できるが、1会計年度につき最大3回までが慣習となっている。今回の法案でも、与党側は、予算調整(Budget Reconciliation)制度を選択している。

【参照ページ】WHAT THEY ARE SAYING: Pass the One, Big, Beautiful Bill 【参照ページ】20 Reasons Why Congress Must Unite Behind the One, Big, Beautiful Bill

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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