
国際エネルギー機関(IEA)は5月7日、世界のエネルギーセクターからのメタン排出量を分析した報告書「Global Methane Tracker」の2025年版を発表した。同報告書の発行は今回で4回目。
【参考】【国際】IEA、エネルギー部門メタン排出量2023年報告書。2024年以降は減少と予測(2024年3月27日)
2024年のエネルギーセクターからのメタン排出量は、約1.45億t。2023年に過去最高を記録した約1.3億tから増加した。化石燃料セクターのメタン排出量は、人類の活動による排出量の約3分の1を占めている。
内訳は、石油事業から約4,500万t、石炭事業から約4,000万t、天然ガス事業から約3,500万t、調理や暖房等の伝統的なバイオマスエネルギーから約1,800万t。このうち約800万tは、中国、米国、ロシア等に存在する放置された油井・ガス井と石炭鉱山からの排出。
また、メタン排出量を観測する人工衛星は25基以上が軌道上にあり、メタン排出量に関するデータ収集と透明性は改善している。人工衛星データの分析により、石油・ガス施設からのメタン漏出検知は2024年に大幅に上昇した。
同報告書では、エネルギーセクターからの年間メタン排出量の約70%は、既存の技術で削減可能と伝えている。回収したメタンガスを再販することで1年以内に費用を回収できるとも指摘し、漏出ガスの回収対策の有効性も訴えた。
現在の企業と国のメタン排出量削減目標は、世界の石油・ガス生産量の80%をカバーしている。しかし、メタン排出量をゼロに近くまで進めることを掲げているところは5%しかない。
そこでIEAは、メタン漏出とガスフレアへの対処では、天然ガスの追加供給の機会を創出することで、エネルギー安全保障を高めると同時に、排出量を削減する二重の恩恵をもたらすとも強調した。具体的には、メタン排出量の削減により、2024年に市場に追加供給可能な天然ガスは約1,000億m3増加すると試算。これはノルウェーの天然ガス総輸出量に相当する。さらに、年間約1,500億m3の天然ガスがフレアリングされており、その大半は回避可能という。
現在の政策に基づき、化石燃料セクターでターゲットを絞ったメタン削減対策を実施することで、2050年までに地球の気温上昇を約0.1℃抑制できる。これは世界の重工業からの温室効果ガス排出量をすべて削減する効果に相当する。
国や企業の間で、メタンの原単位排出量の差も大きい。優れた企業と最下位の企業を比較すると100倍の差がある。この格差を是正するには、意識向上と既存のベストプラクティスの普及が重要とも指摘した。
IEAは、世界のメタン排出量に関するデータ「Global Methane Tracker」を無料公開している。今回は国別履歴データ、国際的なメタン削減イニシアチブを探せるツール等を追加している。
【参照ページ】Methane data and transparency continue to improve, but emissions remain far too high
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