
日本銀行は6月6日、「気候変動関連の市場機能サーベイ」の第4回結果を発表した。発行体、投資家、金融機関、格付会社等948社に調査票を送付し、約半数から回答を得た。
日本銀行は、気候変動対策では、気候変動から生じるリスクや機会の株式や債券等の金融商品価格への織り込みや、気候変動関連のESG債(GSS+債)の発行環境の整備等が重要とみており、2022年から毎年市場調査を行っている。
今回調査では、まず、気候関連リスク・機会の価格への織り込みについては、株式、社債市場とも、幾分織り込みが進んだとの見方が示された。また、社債価格に比べて株価の方が、相対的に織り込みが進んでいるとの評価となった。また移行リスクに比べて物理的リスクについては織り込みが遅い。
さらに価格に織り込まれていくための課題では、株式、債券ともに、「気候関連リスク・機会を重視する発行体や投資家の広がり」が最も多かった。また「情報開示の拡充や標準化」「ESG評価の透明性の向上」と続いた。
ESG債の発行・投資状況では、国内での発行実績のある発行体の割合は、前回調査より幾分上昇。一方、投資実績のある投資家の割合は、前回調査から概ね横ばいで、投資家の裾野の拡大は限定的だった。ESG債の発行理由では、「事業戦略上の重要性やレピュテーション」が引き続き最多で、投資家層の拡大効果は減少。またグリーニアムを期待する意見は変わらず低調だった。
社債市場全体では、気候変動関連のESG債の発行残高は増加。ESG債の発行体数も緩やかながら増加した。一方で、増加を続けてきたESG債の新規発行額は、24年に減少に転じ、特にグリーンボンドで大きく減少した。反面、トランジションボンドは、原子力発電向けの発行開始もあり、増加した。
機関投資家の気候変動を考慮した社債投資戦略では、銀行や保険会社はESG債の購入から進めているに対し、運用会社は、気候変動要因を信用力評価やスプレッド評価に組み込むとの声が多かった。
トランジション・ファイナンスは多排出産業を中心に活用が進んでおり、今後も活用方針が示された。他方、他の手段で調達が可能と判断した発行体も多く、活用しないと回答した先の割合が増加した。投資家側では、トランジションボンドをESG投資を増やすうえで念頭に置いていると回答した先の割合が増加していた。
今回の調査を踏まえ、日本銀行は、米国や欧州をはじめとした国際情勢の変化が「わが国の市場参加者の見方に直接的に大きな影響を与えた様子は窺われず、これまでわが国はバランスのとれた対応をしてきており、大きな影響はないとの声も聞かれた」と評価。さらに「これも契機として、開示や気候変動ファイナンスを巡るコストと効果、理念と実効性といった観点から多くの意見が聞かれるなど関心の高まりが窺われ、今後どのような影響が生じるかは注目点の1つ」とコメントしている。
【参照ページ】気候変動関連の市場機能サーベイ(第4回)調査結果
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