
国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)は8月、気候変動に関するリスクマネジメント開示の動向をまとめた報告書「リスクマネジメントのためのサステナビリティ開示ランドスケープ報告書」を発行した。
同報告書は、UNEP FIのリスク・センター・チームが作成。国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が策定した「IFRS S1(一般開示要件)」と「IFRS S2(気候関連開示)」を軸に、各国での制度化状況、企業開示事例、課題を総合的に分析した。
同報告書は、金融安定理事会(FSB)の指摘を踏まえ、気候変動が財務諸表に与える定量的影響の開示は依然として限定的な状況にあると評価。また、UNEP FIの調査でも、多くの金融機関が信用リスク評価を通じた形で移行リスクを反映しているにとどまり、キャッシュフローや流動性への影響については定性的説明を中心とした。
先行事例としては、金融機関ではDBS、BBVA、スタンダードチャータード、サンタンデール銀行、事業会社ではユニリーバ、ネスレ、アディダスの開示を紹介した。但し、標準化と比較可能性には依然として課題があるとした。
UNEP FIは今回、リスクマネジメントの開示の質の向上でも、気候移行計画(トランジションプラン)の開示が重要となると表明。Avivaやナットウェストの開示を好事例としつつ、ガバナンス、目標設定、取引先とのエンゲージメントに関する透明性が移行計画の実効性を左右すると強調した。
また、データ品質の向上、影響・リスクの財務指標への転換、ステークホルダー対応力の強化が今後不可欠になるとし、EUの「中小企業向け任意基準(VSME)」の活用にも期待を寄せた。
【参考】【EU】欧州委、非上場中小企業向け欧州サステナビリティ報告基準(VSME)承認(2025年8月2日)
【参照ページ】Sustainability Disclosure Landscape Report for Risk Management: Insights from climate-focused case studies
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