
仏エネルギー大手トタルエナジーズと総合電機世界大手独シーメンスのCEOは10月6日、企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)の廃止を要請する書簡を、エマニュエル・マクロン仏大統領とフリードリヒ・メルツ独首相宛てに送付した。10月10日、英紙ロイターが報じた。
両社は、欧州46社を代表する形で同書簡を送付。CSDDDの廃止は「政府と欧州委員会が欧州の競争力回復に真剣に取り組んでいるという、欧州およびグローバル企業への明確かつ象徴的なシグナルになる」と明記していたという。
欧州連合(EU)では、企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)、EUタクソノミー規則、炭素国境調整メカニズム(CBAM)の簡素化に向けたオムニバス法案により、各指令の簡素化・延期等の協議を行っている。しかし、機関投資家や事業会社からは簡素化に反対し、コア要素維持を求める声もあり、論争を呼んでいる。
【参考】【EU】機関投資家104団体、事業会社40社等、EUに簡素化作業でコア要素維持を要請。共同声明(2025年8月7日)
オムニバス法案に関する欧州議会議員やEU加盟国での交渉は、規則の緩和や対象の絞り込みが中心となっている。今回の両社の書簡は、さらに踏み込み、全面廃止を要請したことで注目を集めている。トタルエナジーズのパトリック・プヤンCEOとシーメンスのローランド・ブッシュCEOは、ともに同書簡に関するコメント要請には応じていない。
その後、欧州議会は10月9日、企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)に関し、全面廃止ではなく、義務適用対象企業を絞り込むことで合意。具体的には、欧州委員会が示したオムニバス法案では「従業員1,000人以上かつ年間売上4.5億ユーロ超」の現行基準を維持するとしていたが、「従業員数5,000人以上かつ年間売上15億ユーロ超」に修正する。また、デューデリジェンスの枠組を従来の「企業ベース」から「リスクベース」に変更することも盛り込まれた。
【参考】【EU】欧州委、オムニバス法案概要発表。CSRD、CSDDD、タクソノミー等で中堅中小企業負担軽減(2025年4月15日)
さらに企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に関しても、欧州議会は、CSRDの適用対象となる企業の売上基準を、「5,000万ユーロ超」から「売上4.5億ユーロ超」に大幅に引き上げる案も盛り込んだ。
今回の欧州議会の合意は、オムニバス法案制定に向けて、欧州委員会の原案を踏まえ、立法府であるEU理事会と欧州議会との三者合意に向けた欧州議会の交渉方針を定めたもの。合意過程では、基準維持を求める左派系政党と、全面廃止を求める右派系政党が激しく対立。最終的に最大党派の欧州人民党(EPP)が示した折衷案に中道左派党派が合意し、まとまった。
最終的な法改正に向けては、EU理事会自身も交渉方針を定めたうえで、欧州委員会、EU理事会、欧州議会の交渉が始まる。
【参照ページ】Sustainability reporting and due diligence: simpler rules for fewer companies
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