
国際的な科学者コミュニティ「グローバル・ティッピングポイント」は10月13日、国連気候変動枠組条約第30回ベレン締約国会議(COP30)に先駆け、気候変動が「閾値」を超えると加速度的に進行していく「ティッピングポイント」の状況を評価した報告書の2025年版を発行した。
同報告書では、2024年に世界の平均気温が産業革命期と比べて初めて1.5℃以上上昇し、北方林やツンドラなど本来炭素吸収源であった生態系が炭素排出源へと転じつつあると指摘。また、近年の極端な海洋温暖化は、気候変動が従来想定された緩やかな変化ではなく、非線形的で急激な反応段階に入ったことを示唆すると伝えた。
また、ティッピングポイントを迎えることの事象として、乾燥化と伐採が閾値を越えれば、アマゾン熱帯雨林がサバンナに不可逆転換し、巨大な炭素放出が起こり、地球温暖化を加速させることも紹介。また、海洋循環が弱まると、欧州の寒冷化、モンスーン変動、熱帯降雨帯の移動が生じ、食料・水資源・インフラ・貿易に広範な影響が及ぶことや、熱ストレスでサンゴ礁が崩壊すれば、海洋食物網・漁業・沿岸経済が不可逆的に破壊的影響を受けるという事例も解説した。
一方、国際秩序は不安定化しており、気候協調を支えてきた多国間主義は、右派ポピュリズムや反科学的政治潮流の台頭、地政学的対立、国家主権が優先される中で弱まり、世界的な共同対応の余地は縮小していると伝えた。
同報告書は、地球システムのティッピングポイント(ESTP)が現実性を帯びる中、社会が影響に対処するためには「インパクト・ガバナンス」を急速に発展させる必要があると述べている。ティッピングポイントを越えることで引き起こされる影響は、急激で、不可逆的で、複数の領域に連鎖し得る点で、従来の気候変動や災害リスク管理とは本質的に異なるものとなるため、複数レベルの制度を結び付け、長期的な社会的安定と公正を重視する方向へ転換しなければならない。
同団体は、COP30以降の社会変革を実現するため、気候、自然科学・社会科学分野の博士号取得以上専門家に対し、「ダーティントン宣言」への署名を呼びかけている。
【参照ページ】The Global Tipping Points Report 2025
無料会員に登録すると、
有料記事の「閲覧チケット」を毎月1枚プレゼント。
登録後、すぐにご希望の有料記事の閲覧が可能です。
無料登録してチケットを受け取る
【無料会員向け】有料記事の閲覧チケットの詳細はこちら
または
有料会員プランで
企業内の情報収集を効率化
- 2000本近い最新有料記事が読み放題
- 有料会員継続率98%の高い満足度
- 有料会員の役職者比率46%
有料会員プランに登録する