
国連は8月24日、コンゴ民主共和国で感染が拡大しているエボラ出血熱の状況を発表。症例数が5,515件、死者数が2,642人に上り、死亡率は48%近くに達していると伝えた。一方、ウガンダの「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」宣言は解除された。
世界保健機関(WHO)は5月17日、コンゴ民主共和国とウガンダを対象に、ブンディブギョウイルスによるエボラ出血熱の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言。8月18日には、緊急委員会が、国際保健規則(2005年)に基づき、状況を再評価するため第2回会合を開催している。テドロス・アダノム事務局長は、同委員会の助言を踏まえ、ウガンダのPHEIC宣言を解除するとともに、WHO加盟国向けの追加の暫定勧告を発出している。
【参考】【国際】WHO、エボラウイルスでDRCとウガンダにPHEIC宣言。パンデミック緊急事態は見送り(2026年5月24日)
コンゴ民主共和国での感染は、6つの州に広がっており、特にウガンダと国境を接する北東部のイトゥリ州が、症例の約85%、死亡者の79%を占めている。医療従事者でも、155人が感染し、50人が死亡。WHOによると、発生から3カ月で、1日平均で90件近くの確定症例が記録されており、2018年から2020年にかけて同国で発生した感染スピードを上回っている。治療を受けている患者の間でも、死亡率は依然として高い。過去6週間に記録された週当たり260人の死亡者のうち、エボラ治療センター外で発生した死亡が約60%を占めた。
対策面では、PHEIC宣言から100日間で、対応の規模と能力は著しく拡大し、検査ネットワークは1カ所から19の検査機関へと拡大。現在では1日当たり3,000件以上の検体を分析できるようになっている。治療能力は10床未満から1,300床以上に急増し、地域社会への啓発活動は250万人以上にまで拡大。接触者追跡率は、感染拡大初週の9%から8月18日時点で84%にまで上昇している。
ワクチンについては、コンゴ民主共和国(DRC)政府は8月中旬、ワクチン供給に関する国際調整グループ(ICG)が管理する世界的なエボラ出血熱ワクチン備蓄からの「エルベボ(Ervebo)」ワクチンの放出を要請。同ワクチンは、まだ予防効果が確実となっていないが、エボラ出血熱の流行時に使用が認可され、推奨されている。
ICGは8月17日、同国政府に対し、7万回分のワクチンを直ちに初期供給すると通知している。内訳は、第3相臨床試験用が2万回分、最前線で活動する医療従事者向けが5万回分。実際の摂取に関しては、十分な情報に基づいた同意(インフォームド・コンセント)が重視されている。ICGは、WHO、国際赤十字・赤新月社連盟(ICRC)、国境なき医師団、国連児童基金(UNICEF)で構成され、ワクチン備蓄への資金は、Gavi(ワクチンアライアンス)が提供している。ICGは、2021年にエボラ対策メカニズムが創設され、2026年7月までに、コンゴ民主共和国(DRC)におけるエボラウイルス流行への対応として、5万6,000回分以上の「エルベボ(Ervebo)」ワクチンが配布されている。さらに16万7,000回分が、コンゴ民主共和国、ギニアビサウ、ケニア、シエラレオネ、ウガンダにおける医療従事者および最前線で活動する人々を対象とした予防接種キャンペーンに使用されている。
地域での感染予防策では、WHOが同国で協力して「保健緊急事態プログラム」を展開し、影響を受けた地域社会の評価を迅速に進めている。現地評価では、疫学的指標に加えて、人々のリスク認識状況、医療・公衆衛生の対応状況、アウトブレイクによる広範な社会的・経済的影響の状況も分析し、当局の意思決定に役立てられている。
WHOのマリー・ロゼリン・ベリゼール・アフリカ地域緊急対応担当局長は、直近の優先事項として、地域社会の役割の強化、モニタリングと接触者追跡を95%まで拡大、医療アクセスの迅速化と病床数3,000床確保、医療従事者の保護強化、国境を越えた準備強化の5つを挙げている。また、ウガンダだけでなく、南スーダンへの感染拡大も警戒されている。
現地では、水や食糧も不足している。感染拡大地域では、農家が農作業をできなくなったり、市場が閉鎖されたり、移動制限によって食料のサプライチェーンが断たれているため。多くの家庭が収入を失う一方で食料価格は上昇するリスクも高まっている。また、食料不安を抱えている人や栄養不良の状態にある人は、病気にかかりやすく、エボラ出血熱のような病気からの回復も困難となり、感染と死亡が広がる悪循環が危惧される。WHOは260人以上の専門家を派遣し、330t以上の必須医療・物流物資を届け、緊急対応活動に560万米ドルを拠出。世界食糧計画(WFP)も、国連人道航空サービス(UNHAS)を通じ、緊急支援と医療搬送を行っている。
アダノム事務局長が8月18日に発出した追加の暫定勧告では、コンゴ民主共和国政府に対し、緊急物資の通関手続の迅速化や国際的な対応要員の出入国手続フローの確立、地域社会とのリスクコミュニケーションの統合的実施、地域社会が安全かつ尊厳ある埋葬に消極的な理由調査、飲食店やナイトクラブにおける混雑を軽減するための措置の制定・実施、オートバイの2人乗り禁止、感染リスクの高い地区での24時間365日体制の健康チェックポイント設置、首都キンシャサを含む主要都市圏を結ぶ内陸水路船舶でサーベイランス実施等を勧告した。
また、ブンディブギョウイルスによるエボラ出血熱の感染が確認されている国と陸上国境を接している国を地域リスクを「高」として、アンゴラ、ブルンジ、中央アフリカ、コンゴ共和国、ルワンダ、南スーダン、タンザニア、ウガンダ、ザンビアを指定し、感染防止対策の強化を勧告した。
【参照ページ】100 days of Ebola and the race to stop the spread
【参照ページ】DR Congo Ebola outbreak spreading exponentially, UN responders warn
【参照ページ】Second meeting of the IHR Emergency Committee on the epidemic of Ebola Bundibugyo virus disease in the Democratic Republic of the Congo – Temporary recommendations
【参照ページ】WHO and Africa CDC welcome the allocation of Ebola vaccines to the Democratic Republic of the Congo
【参照ページ】Strengthening the Bundibugyo virus disease response through community evidence
【参照ページ】Africa CDC and WHO call for urgent, community-led action to contain Ebola in the DRC
【参照ページ】2026 Ebola outbreak: Key facts, symptoms and why it’s driving hunger in Africa
無料会員に登録すると、
有料記事の「閲覧チケット」を毎月1枚プレゼント。
登録後、すぐにご希望の有料記事の閲覧が可能です。
無料登録してチケットを受け取る
【無料会員向け】有料記事の閲覧チケットの詳細はこちら
または
有料会員プランで
企業内の情報収集を効率化
- 2000本近い最新有料記事が読み放題
- 有料会員継続率98%の高い満足度
- 有料会員の役職者比率46%
有料会員プランに登録する