
三井不動産、東京製鐵、大成建設の3社は11月4日、千葉県船橋市の「三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY」北館建替え計画Ⅱ期の建築工事に着手し、東京製鐵の低炭素電炉鋼材「ほぼゼロ」を約3,500t採用すると発表した。東京製鐵の通常電炉材と比べ、鋼材製造段階の温室効果ガス排出量を約1,000t、建設時で約70%削減できる見込み。「ほぼゼロ」の受注としては2024年7月の発売以来、最大の案件となる。
「ほぼゼロ」の製造時温室効果ガス排出量は鋼材1t当たり100kgで、東京製鐵の通常電炉材の400kgに比べ約75%少ない。高炉材の約2,000kgと比較すると約95%の削減になる。削減率は東京製鐵の算定に基づくもので、建設時温室効果ガス約70%削減の数値も通常電炉材を使った場合との比較。
Ⅱ期工事は鉄骨造地上3階建て、延床面積約62,000㎡で、物販・飲食・サービス店舗等約200店舗を計画する。設計・監理は大成建設一級建築士事務所、施工は大成建設・大成ユーレック・阿部建設の特定建設工事共同企業体が担い、2028年夏の竣工・開業を予定する。Arc認証とDBJ Green Building認証の取得も予定している。先行するⅠ期エリアは2025年10月に開業済み。三井不動産の建設時温室効果ガス削減方針を受け、大成建設が建材製造段階の対策として採用を決めた。
「ほぼゼロ」は鉄スクラップを主原料とする電炉で製造され、再生可能エネルギー由来の電力、追加性のある非化石証書、需要を増やす方向のデマンド・レスポンス(上げDR)を組み合わせて製造時排出を抑えている。国内4工場で製造する全品種が対象で、品質と納期は通常品と同等とされる。スキームについては第三者機関のソコテック・サーティフィケーション・ジャパンから妥当性確認を受けており、購入者には証明書が発行される。通常品に上乗せするエキストラ価格は1t当たり5,900円で、2026年9月契約以降も据え置かれている。同社はこの価格を、国際エネルギー機関(IEA)のネットゼロシナリオにおける2030年の先進国炭素価格と、再エネによる削減量から算出したと説明している。
一方、高炉大手のグリーンスチールは「マスバランス方式」が主流だ。JFEスチールの「JGreeX」や日本製鉄の「NSCarbolex Neutral」は、製造プロセス全体で生み出した削減量をプールし、任意の製品に割り当てる。日本鉄鋼連盟のガイドラインに準拠し、購入企業はScope3の削減として報告できると整理されている。不動産分野では2023年に住友商事の「(仮称)水道橋PREX」がJGreeXを採用し、新築時排出全体の1割以上に当たる約400tの削減を見込んだ例がある。今回の3社の発表資料には、「ほぼゼロ」がマスバランス方式であるとの記載はなく、削減の根拠は電炉製造時の電力由来排出の低減に置かれている。
三井不動産は2021年11月に策定したグループ行動計画で、温室効果ガス排出量を2030年度に2019年度比40%削減し、2050年度にネットゼロとする目標を掲げた。2022年3月には日建設計と、部資材ごとに排出を積み上げる「建設時GHG排出量算出マニュアル」を策定し、施工者に建設時CO2の算出を求める方針を打ち出していた。今回の採用は、こうしたスコープ3対策として、エンボディド・カーボンを含めたをホールライフカーボンの削減を個別の物件で具体化したものといえる。
【参照ページ】「三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY北館建替え計画」Ⅱ期 建築着工」
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