Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の97%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【国際】COP29、2035年の途上国資金協力年間3000億ドルで合意。官民合計で年1.3兆ドル

 国連気候変動枠組条約第29回バクー締約国会議(COP29)議長国アゼルバイジャン政府は11月24日、COP29での2035年気候変動資金協力目標「新規合同数値目標(NCQG)」交渉が妥結したと表明。アゼルバイジャン政府が当初示した原案の2,500億米ドルから500億米ドル積み増し、3,000億米ドル(約46.4兆円)で決着した。

 今回のCOP29は、「ファイナンスCOP」とも呼ばれ、NCQGの合意が最も重要な議題とみなされてきた。NCQGとは、先進国から発展途上国に提供される気候変動資金に関する2025年以降の金額目標。現行の2025年目標は2009年のCOP15で「2020年までに年間1,000億米ドル」で先進国が合意した内容がパリ協定にも盛り込まれているが、2025年以降の目標については2022年から議論が続けられてきた。

【参考】【国際】官民金融機関、個別資金ではなく「変革的ファイナンス」を政府に要請。COP29(2024年11月18日)

 発展途上国側は国別削減目標(NDC)の中で、2030年までに5.1兆米ドルから6.8兆米ドル、年間で4,550億米ドルから5,840億米ドルの資金が必要と予測。さらに別途、気候変動適応資金で年間2,150億米ドルから3,870億米ドルの資金が必要と見積もっている。

 COP29では、議長国から2,500億米ドルの案が提示されたものの、発展途上国は引き上げを要求。先進国との交渉が難航し、11月22日に終了する予定だった会期を土日を使って2日間延長し、合意への交渉が続けられていた。そして、ついに、2035年までに先進国政府から発展途上国へ年間3,000億米ドル以上をコミット、さらに官民合わせて発展途上国年間1.3兆米ドル(約201兆円)以上を目標とすることで合意した。さらに、公正な移行(ジャスト・トランジション)を支援する継続的な努力と、透明性、準備態勢、キャパシティビルディング、技術開発と移転を含む分野横断的な努力の重要性も認識した。

 3,000億米ドルの内容には、「官民、二国間、多国間、代替的なもの」も含めることで合意。さらに、世界銀行号の国際開発金融機関経由で供給されるものも含める「自発的な意図を認識する」という文言も入り、先進国側がカウント算入にこだわったことも見て取れる。さらに目標は気候変動緩和と適応の双方を対象とし、実施では透明性を確保することも盛り込まれた。

 また今回の合意では、「2030年までに資本コストを大幅に削減し、公的資金から動員される資金の動員比率を高め、各国の状況を考慮しつつ、ファースト・ロス商品、保証、自国通貨による資金調達、為替リスク商品等の革新的な手法の利用を通じ、途上国締約国の財政余地を創出することの極めて重要性を強調」するとし、資金動員手段でもイノベーションを発揮していくことが謳われた。

 公的資金の動員では、資金メカニズム、適応基金(AF)、後発開発途上国基金(LDCF)、特別気候変動基金(SCCF)の運営主体を通じ、公的資金を大幅に増加させることを決定。2030年までに、これらの基金からの年間資金拠出額を2022年のレベルから3倍以上にすることも目標とした。

 先進国から発展途上国への資金協力では、前日にパリ協定6条スキーム(市場メカニズム)が完成したことも大きい。これにより削減量移転が可能になったことで、新たな資金枠組みが誕生したと言える。

【参考】【国際】COP29、パリ協定6条市場メカニズムのルール整備完了。10年越しの決着(2024年11月24日)

 今回、2035年に向けた発展途上国への資金動員金額目標が確定したことで、いよいよ各国では2035年の国別削減目標(NDC)の提出(第1回ストックテイク)に焦点が移ることになる。

【参照ページ】Breakthrough in Baku delivers $1.3tn “Baku Finance Goal” 【参照ページ】New collective quantified goal on climate finance. Draft decision -/CMA.6. Proposal by the President

author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。