PRI(The Principles for Responsible Investment:責任投資原則)は7月29日、企業が農業サプライチェーンにおいて直面している、水リスクに関する調査レポートを公開した。このレポートはWWF(World Wildlife Fund:世界自然保護基金)、PwC Germanyとの共同で作成されており、投資家およびその投資先企業に対して企業が抱える水リスクを明らかにした上で、課題解決に取り組む際の指針も示している。
今回の調査により明らかになった点は下記の通りだ。
- 水不足が深刻な地域における、企業の売上と水の消費量との間には強い相関関係がある
- 調査対象企業の水消費量は、平均値と中央値で大きな差がある
- 農業製品、食料品・飲料・食品小売業界は、アパレル・ラグジュアリー業界、醸造業、酒造業・ワイン製造業よりもはるかにサプライチェーンにおける水フットプリントが高い
- いくつかの有名ブランド企業は自社およびサプライチェーン双方における水リスク管理に長けているものの、全体のパフォーマンスは総じて低い
調査によれば、企業の売上と水の消費量には相関があり、売上が多くなればなるほど、水の消費量も多いことが分かった。また、企業の水消費量は平均値と中央値で大きく異なり、水不足が深刻化している地域における企業の平均水消費量は売上1,000ドルあたり127.5?なのに対して、中央値では1,000ドルあたり81.1?だった。
業界別に見ると、農業製品の企業は売上1,000ドルあたり約330?の水を消費しているのに対して、アパレル小売企業は売上1,000ドルあたり約40?となっており、世界の淡水の約70%を利用していると言われる農業セクターの水リスクが高いことが示されている。
また、PRIによる本研究および調査レポートは、米国政府が進めるClimate Data Initiativeのフード・レジリエンスに関するテーマもサポートしている。Climate Data Initiativeとは米国政府が保有するサステナビリティ関連の膨大なデータを広く民間やNGOセクターに公開し、気候変動対策に向けたイノベーションを促進するというオープンデータ活用プロジェクトだ。
PRIのマネジメントディレクターを務めるFiona Reynolds氏は、「企業が彼らのサプライチェーンにおいて抱えている水リスクを示すために、このプロジェクトを開始できたことを誇りに思う。我々は、透明性やリスクマネジメントの改善を促し、ますます水不足が深刻化しつつあるこの世界において食糧生産におけるレジリエンスを高めるために、投資家と企業が積極的に対話をすることを望んでいる。」と語った。
本レポートでは水不足地域における水リスクの現状および、水リスクマネジメントの体系的なベストプラクティスなどが分かりやすくまとめられているので、興味がある方はぜひ見て頂きたい。レポートは下記からダウンロード可能。
【レポートダウンロード】PRI Collaborative Engagement on Water Risks in Agricultural Supply Chain Investor Guidance Document
【団体サイト】PRI
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