
中国共産党中央弁公庁と国務院弁公庁は8月25日、全国二酸化炭素排出量取引制度(ETS)を強化する意見を公表した。2027年までに適用業種を大幅に拡大する。文書の発出は5月24日付け。
2021年に開始された中国の全国二酸化炭素排出量取引制度は、現時点では石炭火力発電事業のみが対象となっている。今回の発表では、2027年までに高排出セクター全てを同制度の対象とすると発表。対象になると無償割当量が設定され、超過すると市場で排出量の購入が義務付けられる。
【参考】【中国】全国炭素排出量取引市場が開幕。まずは石炭火力が対象。今後はガス火力や重工業にも(2021年7月18日)
また同発表では、2030年までに、全国の割当量全体の削減を開始することも表明。これにより、対象企業は大幅な削減が義務付けられることになる。市場での排出量価格についても、合理的な価格水準を実現する方針を示した。
排出量の算定では、重点セクターの温室効果ガス排出量算定・報告ガイドラインの改訂を加速。条件が整い次第、国家標準に格上げする。排出量算定の分類管理を実施し、排出係数に基づく算定体系を整備。さらに、物理的な算定を強化するため、炭素排出量測定の計量器の配備・使用・管理も進める。月次のエビデンス保存も義務付ける考え。
中国では、省や市の単位でも独自の排出量取引制度が導入されている。今回の発表では、全国排出量取引市場と各地方の排出量取引市場を統合的に調整していくことも表明。省・市での排出量取引市場の新設は禁止されることとなった。中央政府による監督も強化する。
排出量取引市場で売買される排出量クレジットについては、方法論(メソドロジー)の開発を促進。自主的排出削減プロジェクトの開発・検証・実施や削減量の検証等のプロセス管理を強化する。プロジェクトオーナーや検証機関には高い規律も課す。共産党・政府機関、企業、社会団体等に対しては、グリーンサプライチェーンマネジメント、大規模イベントの開催、社会的責任の履行、グリーンで低炭素な生活等の分野において、カーボンオフセットを積極的に推進することも伝えた。
金融機関に対しては、排出量クレジットや検証済み削減貢献量に関連するグリーン金融商品・サービスの開発をグリーンウォッシュに注意しながら拡充していくことを指示。特に炭素担保・炭素買戻等の政策制度を整備し、排出量クレジット関連の金融活動をルール化するとした。これにより排出量取引市場の活性化も図る。市場取引の監督も強化し、不正行為や相場操縦等の行為も厳しく取り締まる。
同時に取引市場のデジタル化も進め、登録システムや取引システムのトレーサビリティも実現。AIも活用しながらサービス機能を強化するとともにデータセキュリティも確保する。
中国政府は、2030年までのカーボンピークアウト、2060年までのカーボンニュートラルを目標として設定しており、今回の発表では、排出量取引制度を同目標達成に向けた重要政策と位置づけた。
【参照ページ】中共中央办公厅 国务院办公厅关于推进绿色低碳转型加强全国碳市场建设的意见
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