
デジタル庁は9月30日、地方自治体の基幹業務システムを全国的に統一・標準化していくための作業が遅れており、当初目標としていた2025年度中の対応完了に間に合わない自治体が36増え、643自治体になったと発表した。
日本政府は2022年、「地方公共団体情報システム標準化基本方針」を閣議決定し、20業務の業務プロセス、データ項目、コード体系を全国共通化し、国が定める「標準仕様書」に準拠した機能、画面構成、API連携仕様等を統一する作業を進めている。所管は総務省だが、デジタル庁も各自治体をサポートする形で、目標達成に向けた作業を進めていた。
標準化対象となっている20業務は、住民基本台帳、戸籍、戸籍の附票、印鑑登録、選挙人名簿管理、固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税、就学、健康管理、児童手当、子ども・子育て支援、児童扶養手当、生活保護、障害者福祉、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療、国民年金で、標準化の対象となるシステムは全部で34,592に及んでいる。
2025年7月末時点で、643自治体において、全体34,592システムの10.9%にあたる3,770システムが、2025年度中の対応完了が難しい「特定移行支援システム」に該当。先月から491システム増えた。増加の背景は、事業者のリソース逼迫により、開発や移行作業等が遅延しているため。
デジタル庁、総務省、制度所管省庁は、地方自治体から把握した特定移行支援システムの状況や移行スケジュールを踏まえ、標準化基準を定める主務省令が所要の移行完了の期限を設定し、概ね5年以内に標準準拠システムへ移行できるよう積極的に支援することとしている。
日本では長年、地方自治体が個別に独自仕様のシステムを導入してきており、同一業務でもシステム構造やデータ形式が異なるため、制度改正対応に多大なコストと時間がかかっている。また、国が全国的な施策を展開する妨げにもなっている。加えて、特定ベンダー依存(ベンダーロックイン)によりさらにコストが嵩み、特に小規模自治体での運用負担が重くなっている。
日本におけるデジタル課題は、デジタル化の遅れだけでなく、非効率なデジタル化がもたらした負の遺産を解消する課題の方が大きいとも言える。
【参照ページ】特定移行支援システムの該当見込み(概要)
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