2013年のフォーチュン・グローバル500に選ばれた企業の2011年~2013年にかけてのCSR活動への年間平均支出総額は199億USドルで、そのうち教育活動に対する支出額は26億USドル(13%)。また、500社のうち半分以下である218社しか教育関連のCSR活動に支出していない。そんな興味深い調査結果が明らかになった。
この調査結果は世界の教育機会向上に取り組むVarkey Foundation(バーキー財団)が1月15日に公表した、世界で初めてとなる企業の教育関連CSR活動への支出額に関する調査、”BUSINESS BACKS EDUCATION”の中で明らかにしたものだ。
今回の結果を受けて、バーキー財団は企業による教育活動への支出はヘルスケアなど他分野に比べてかなり少ないと指摘している。Center for Global Prosperityが2012年に実施した調査では、米国企業は寄付総額の53%をヘルスケア関連の取り組みに支出していることが明らかになっているという。
フォーチュン・グローバル500社のうち、教育関連CSR活動への支出額が最も多かった上位10社は下記の通りだ。
(※Varkey Foundation releases Education CSR spend researchより引用)
1位はスペイン最大の商業銀行グループ、Banco Santander(サンタンデール・セントラル・イスパノ銀行)で、年間の平均CSR支出総額約2億4,900万USドルのうち、実に79%にあたる1億9,600万USドルを教育活動にあてている。また、次いでIBM、スペインの通信大手Telefonica(テレフォニカ)、Exxon Mobil(エクソンモービル)、Target(ターゲット)と続き、日本からはトヨタ自動車が8位にランクインしている。また、上位10社の教育関連CSR活動への支出額の合計だけで、グローバル・フォーチュン500社全体の支出額の42%を占めていることも分かった。
なお、フォーチュン・グローバル500社のうちCSR全体の支出総額上位10社は、Oracle(22.6億USドル)、AstraZeneca(12億ドル)、Halliburton(12億ドル)、Microsoft(9.2億ドル)、Wal-Mart Stores(8.5億ドル)、Merck(7.3億ドル)、Wells Fargo(3.4億ドル)、Samsung Electronics(3.1億ドル)、Abbot Laboratories(3億ドル)、Rio Tinto Group(3億ドル)だった。
今回の調査は、バーキーがUNESCOやDubai Caresらと協働で展開しているBusiness backs Educationキャンペーン(2020年までに、世界のCSR支出総額のうち教育関連活動への支出割合を20%に引き上げる取り組み)の認知拡大の一環として、ダボス会議の開催に合わせて公表されたものだ。現在UNESCOは各国政府に対して国家予算の20%以上を教育に、またODA(政府開発援助)の20%を教育機関へ使用するべきだと助言しており、同キャンペーンでは政府の方針に産業界も足並みを揃えるように呼びかけている。
世界では未だに十分な教育が受けられない子供が多く暮らしており、教育機会の格差が収入格差や貧困につながっている。負のスパイラルを断ち切るためには教育の充実が不可欠だ。最近では寄付活動だけではなく、世界中のどこにいてもインターネット上で世界最高峰の教育を無料で受けられるMOOCs(Massively Open Online Courses:大規模オープンオンライン講座)なども広がっており、一概に支出額だけで語ることは難しいものの、今後も企業の主導による教育分野への更なる積極的な活動が望まれる。
【レポートダウンロード】BUSINESS BACKS EDUCATION
【団体サイト】Varkey Foundation
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