英国家庭医学会、王立内科医学会、英国王立医学協会などの医療関係者機関は、気候変動がもたらす悪影響に対応する医療システムの構築を共同で政府に促すため、連盟、“UK Health Alliance for Climate Change”を立ち上げたと3月30日発表した。今後予想される気候変動に対し、現行の英国の医療システムでは危機対応ができないという。
この連盟は、英国政府に対し、気候変動や環境保全の視点から、エネルギー、医療・保健、交通機関、農業政策等に関するロビー活動を行い、各地域レベルでの健康度の向上や国営保健サービス(National Health Service:NHS)の効率的な利用についての提言を行っていく。英国では、洪水や熱波等の異常気象が近年頻発しており、人々の健康や公共的なインフラへのリスクも増大しているという危機感がある。同国では昨年冬に大洪水が発生し、主要なインフラが機能不全に陥った。昨年は被害がなかった病院や診療所も、最大で8%が洪水の危険性がある地域に所在している。2,000カ所もの病院や高齢者用の施設であるケアホーム、国営保険サービスのプライマリケアを担う家庭医(General Practitioner:GP)の診療所が、洪水や沿岸洪水のリスクにさらされており、気候変動への適切な準備が整っているのは地域の医療管理を担う医療委託グループ(clinical commissioning groups: CCGs)間では僅かに18%、国営保険サービスの医療機関全体でも3分の1だけだという。連盟はこの状況を踏まえ、「行動が遅きに失した」ことにならないようにと警告している。
同盟の参加者たちはJeremy Hunt保健大臣に書簡を送り、国営保険サービスをはじめとする医療機関は、医療関係者、システム、設備が気候変動に対応できるよう緊急に対策を打ち必要があると要請したという。自然災害は多くの場合、農業・漁業や製品の製造現場に影響を及ぼし、食料品や薬品、衛生関連製品等が不足しがちになる。そのため、特に経済的に最も脆弱な人々が最も大きな犠牲を強いられる。
【参照ページ】UK health services are currently unprepared for the risks posed by climate change, warns a major new health alliance launching today
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