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用語集

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)

 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、は、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)及び国民年金法(昭和34年法律第141号)の規定に基づき厚生労働大臣から寄託された積立金の管理及び運用を行う公的年金基金です。

 GPIFの前身は1961年に設立された年金福祉事業団で、1986年から年金運用事業が始まりました。2001年に同事業団から年金資金運用基金に改組され、2006年に年金積立金管理運用独立行政法人が設立されました。

 現在の日本の年金制度は「賦課方式」と呼ばれ、勤労世代の保険料負担で高齢者世代を支える世代間扶養の考え方を基礎としています。この賦課方式のもとでは掛金として徴収した資金が高齢者への年金として支出されるため、本来は年金の「積立金」は存在しないはずです。しかし、日本の年金制度はかつては「積立方式」と呼ばれる、勤労世代の保険料を積み立てておき、高齢者になったときに年金として支給されるという考え方をとっていたため、その当時は支払金額より徴収金額のほうが多く「積立金」が発生していました。高齢社会を迎える日本では、この積立金をうまく活用しながら、勤労世代の負担を減らしつつ増加する高齢者世代に対して年金を支給することが非常に重要となっています。

 2015年3月末時点のGPIFの資産額は、厚生年金分が約137兆円、国民年金分が約9兆円、合計で約146兆円です。厚生年金と国民年金の積立金は2000年度までは大蔵省の資金運用部が管理し、財政投融資という形式で公共事業などに貸付されていました。しかし特殊法人改革、行財政改革の中で、年金積立金を一般の金融市場の中で運用することが決まり、この仕組が現在まで続いています。年金積立金の運用については、厚生年金保険法第79条の2、及び年金積立管理運用独立行政法人法第20条第2項で「専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって年金事業の運営の安定に資することを目的とし、年金積立金の管理および運用の具体的方針を策定して行う」ことが規定されています。

 GPIFの運用の基本的な仕組みは、GPIF内に設けられた運用委員会の審議に基づき理事長が信託銀行や投資顧問会社などの運用機関へ運用を委託しています。運用から得られた収益は国庫に納付されます。収益がプラスで国庫納付があれば年金積立金が増え、収益がマイナスであれば逆のこととなります。2015年4月に施行された独立行政法人通則法により、GPIFは「中期目標管理法人」に分類され、それに伴い厚生労働大臣によって定められた3年以上5年以下の中期目標に従った中期計画の作成・認可が必要となりました。そこで同法人では、中期計画で分散投資を基本とする長期的観点からのポートフォリオの作成をし、安全で効率的な運用を努めています。現行の基本ポートフォリオは、国内債権35%、国内株式25%、外国債権15%、外国株式25%となっています。また同年3月には、内部統制強化のため「投資原則」と「行動規範」も策定されました。

 GPIFの運用収益が日本の年金制度にとって重要となる中、GPIFの組織改革もなされています。従来は理事長1名、理事1名の2名体制であったGPIFは、新たに運用担当理事を法律上必置とし、理事を増員することが2015年に決定。2人目の理事として外部から運用会社でのキャリアの長い水野弘道氏が招聘されました。GPIFは2015年9月にPRI(国連責任投資原則)に署名、2016年11月にはPRIの理事選挙でGPIFの水野・理事兼CIO水野弘道が当選するなど、ESG投資にも力を入れ始めています。

参考文献・サイト

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