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【国際】G7財相会合、多国籍企業への事業実施国での15%以上課税で合意。TCFD義務化も支持

 G7財相・中央銀行総裁会議は6月5日、多国籍企業に対し、事業実施国で15%以上の法人税を課すことで合意した。税源浸食と利益移転(BEPS)行為による租税回避が常態化している多国籍企業に対する課税方針で初めて主要国が一致した。7月に開催されるG20財相・中央銀行総裁会議で詳細を話し合う。

 G7の2021年の議長国は英国で、会合は英リシ・スナク財相。G7諸国の他、国際通貨基金(IMF)、世界銀行グループ、経済協力開発機構(OECD)、金融安定理事会(FSB)のトップも出席した。スナク財相は、政界入り前は、スタンフォード大学経営大学院でMBAを取得後、ゴールドマン・サックスやヘッジファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンドなどで勤務。2015年に国会下院で初当選した。

 今回の合意は、2つのポイントからなる。まず、多国籍企業のグループ本社所在国ではなく、事業実施国で各々課税責任を果たす必要があるとした点。対象は、利益率が10%以上の企業で、10%を超える利益のうち20%分は利益移転を容認するが、残り80%は事業実施国で納税することを掲げた。もう一つのポイントは、事業実施国での法人税率を15%以上とすること。合意の主な対象は、ITプラットフォーマー。

 多国籍企業の法人税に関しては、G7諸国より、オランダ、アイルランド、ルクセンブルク等の国がタックスヘイブン環境を用意しており、今後、G20や、EU内で議論がまとまるかに焦点が集まる。

 さらに今回の会合では、G7財相・中央銀行総裁会議で初めて、経済活動や金融意思決定における気候変動と生物多様性喪失の問題もアジェンダとなった。共同声明では、市場関係者の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の義務化を支持するとともに、IFRS財団によるTCFDガイドラインを基にしたサステナビリティ報告スタンダード策定の動きも歓迎した。

 新型コロナウイルス・パンデミック禍での発展途上国支援では、今年初旬に合意したIMFでの特別引出権(SDR)の6,500億米ドル(約71兆円)の一般割当活用を改め支持し、8月末までに迅速に実行するよう求めた。ワクチン支援でも協力する。さらに将来のパンデミックに備え、薬剤耐性を防止するための抗生物質を製造する市場インセンティブの構築を検討していくことでも合意した。

【参照ページ】G7 FINANCE MINISTERS AGREE HISTORIC GLOBAL TAX AGREEMENT
【参照ページ】G7 Finance Ministers and Central Bank Governors Communiqué

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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