World Economic Forum(世界経済フォーラム)は3月24日、責任あるサプライチェーンが企業にもたらす3つの利点についてまとめた報告書"Beyond Supply Chains – Empowering Value Chains"を公表した。同報告書によると、責任あるサプライチェーン慣行の実践は「収益増加」「サプライチェーン上のコスト削減」「ブランド価値向上」という3つの利点を企業にもたらし、さらにCO2排出量削減や人々の健康や生活、労働条件の向上などのコミュニティの発展にもつながるという。
同報告書は世界経済フォーラムがアクセンチュアと共同で制作したもので、ネスレやSABミラー、UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)など25の企業、NGO、サステナビリティ専門家らへのインタビューを通じ、31の事例がまとめられている。
分析対象となった企業は、責任あるサプライチェーン慣行の実践により収益を5~20%増加、サプライチェーン上のコストを9~16%削減、ブランド価値を15~30%向上させることに成功し、事業リスクも低減したとのことだ。さらに、企業は製品設計から調達、製造、物流までの一連の製品ライフサイクルにおいてCO2排出量を13~22%減らすことが可能だとしている。
世界経済フォーラムで輸送業界のサプライチェーン・輸送担当トップを務めるWolfgang Lehmacher氏は「これまではサステナビリティにかかわる意思決定プロセスそのものに難しい部分があったが、我々は今回の報告書によって企業が今すぐ行動を起こし、責任あるサプライチェーンの維持、構築に注力することを期待している」と語った。
責任ある調達慣行がコミュニティに利益をもたらしている一つの事例として紹介されているのが、醸造大手のSABミラーが2001年からアフリカのウガンダで展開しているブランド、「イーグルビール」の事例だ。同社は地元農家とモロコシの調達に関わる長期の契約および価格合意にコミットした結果、現在では20,000人以上の農家がイーグルビールのサプライチェーンに携わるようになり、今では同ブランドが同社の売上の半分以上を占めるまでになった。一方で、農家はイーグルビールの成功により安定した収入、医療サービスへのアクセス、更なる成長を遂げるための資金を得られるようになった。
同報告書中には企業の成功事例以外にも、経営者が自社のサプライチェーン慣行の価値創造ポテンシャルを評価し、サステナビリティ投資の優先順位決定に活用することができるガイドラインや、より倫理的な事業を展開したい企業に向けた手引きなども盛り込まれている。責任あるサプライチェーンの実践を通じて事業価値の創造に成功している企業の事例や手法について知りたい方は、ぜひ下記レポートを参考にしてほしい。
【レポートダウンロード】Beyond Supply Chains – Empowering Value Chains
【団体サイト】World Economic Forum
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