石炭消費の抑制を推進する中国のNPO、The China Coal Cap Projectは3月26日、中国のCoal Cap Policy(石炭消費抑制政策)はより多くの雇用創出につながるとする研究結果を発表した。同研究は、中国で来年から始まる第13次5ヵ年計画において石炭消費抑制政策を打ち出すことにより、中国の雇用市場にもたらされる恩恵を分析したものだ。
中国都市学・環境学研究所の所長を務めるPan Jiahua教授は「同政策が実施されれば、エネルギー効率化、クリーンエネルギー分野における雇用創出は石炭産業における雇用創出よりはるかに多い上、旧来の不安定な雇用の代わりに生み出される雇用は、良好な労働環境とより高度な技術を提供する」と述べた。
石炭消費抑制政策の実施は、特に電力業界に一番大きな変化をもたらすとされている。政策が実施されれば、石炭火力発電関連の雇用は減り、逆に風力・太陽・バイオマス・水力・原子力発電関連の雇用が増加することになるが、太陽・風力発電の設備工事・稼動・整備は多くの人員を要するため、同政策は電力業界全体における雇用増加につながるという。
また、エネルギー節約技術に関する新たな研究開発は多くのエネルギー効率化関連の専門職とサービス業の雇用を生み出す。同研究によれば、2020年までに、建設、鉄鋼、セメント産業が新たな石炭消費抑制基準に応じるために、それぞれ30万人、45万人、39万人の雇用が創出されるとしている。また、石炭消費抑制によりクリーンエネルギーの開発に巨額の投資が行われ、金融、コンサルティング、保険、教育、環境保護、メディアといったサービス産業に多くの利益をもたらし、結果として都心部、地方部ともに間接的な雇用創出が見込まれる。
反対に、中国および他国の過去の経験を分析した結果、石炭消費量と全体の雇用状況とは相関がないことが分かっている。これは石炭生産技術・効率の向上により、石炭消費抑制政策が実施されなかったとしても石炭生産における雇用市場が自然と縮小するためだという。
化石燃料から脱却し、クリーンエネルギーへの転換を進めることは、環境面はもちろん雇用にも大きな好影響をもたらす。新たな雇用の創出だけではなく、石炭採掘という劣悪で危険な労働環境から労働条件の良いクリーンエネルギー関連の仕事への転換が進むことで、雇用の量、質ともに向上するのだ。今やクリーンエネルギー推進大国として生まれ変わりつつある中国の政策動向からは今後も目が離せない。
【リリース原文】China’s Coal Cap Policy Will Increase Country’s Clean Energy Jobs
【団体サイト】Natural Resources Defense Council
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