ホテル大手のヒルトン・ワールドワイド(以下、ヒルトン)は1月6日、同社が4年前に開始したCSR戦略、"Travel with Purpose"のこれまでの活動成果を公開し、同社が世界中で取り組んできたパートナーシップやCSRプログラムへの投資は社会に好影響を生み出しているだけではなく、事業の長期的成功にもつながっていると発表した。
同社は「環境」「機会」「地域社会」の3領域を重点テーマに据えてCSRに取り組んできた。「環境」においては事業ポートフォリオ全体における自然資源管理を推進した結果、2009年と比較してエネルギー利用が14.5%、CO2排出量が20.9%、廃棄物が27.6%、水利用が14.1%削減され、累計約5億5000万米ドルのコスト削減を実現した。
また、「機会」については、2014年に若年層の未来に投資するというコミットメントを掲げて以降、全世界40万人以上の若年層に対してキャリア支援プログラムを提供してきた。現在世界では約7,000万人の若年層が失業状態にあるが、一方で旅行・観光産業では2022年までに新たに7,300万人の労働力が必要となると見込まれており、ヒルトンの活動はその需給ギャップを満たすための投資となる。
そして「地域社会」においては、毎年10月を"Global Month of Service"と位置付け、総計21.3万時間分に相当する4,145のボランティアプロジェクトに取り組んだほか、世界中のヒルトンホテルやオフィスが地域社会との協働によりグローバル課題の解決に向けて展開している約200のプロジェクトに対してTravel with Purpose Action Grantsを提供し、資金援助を行った。
ヒルトンのCEOを務めるChristopher J. Nassetta氏は「Travel with Purposeは、我々の事業を社会に結びつける一連のグローバル課題をめぐって我々の組織を一つにすることで、我々のビジョンと価値観を人々の暮らしに浸透させる上で重要な役割をはたしてきた。我々は引き続き自分たちが好影響を生み出せると考える領域への投資を継続し、若者のために機会を創り出し、より強いコミュニティを作り、環境を保全していく」と語った。
ホテル事業は雇用創出や環境といった様々な面において世界各地の地域社会と非常に密接な関わりを持つ事業だ。ヒルトンが「環境」「機会」「地域社会」の3つを重点的なCSRテーマに据えているのも事業モデルに起因する部分が大きい。ホテル事業を通じて世界中のコミュニティをいかに持続可能な形で発展させていくのか、グローバルとローカル双方の視点が求められる同社のCSR戦略から学ぶべき点は多い。
【参考サイト】Travel with Purpose
【参照リリース】Hilton Worldwide Activates Thousands of Hotels to Find Solutions to Global Issues
【企業サイト】Hilton Worldwide
(※写真提供:Venturelli Luca / Shutterstock.com)
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