スマートシティ 2017/05/08 辞書

 スマートシティとは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)をエネルギーや生活インフラの管理に用いることで、生活の質の向上や都市の運用及びサービスの効率向上、そして都市の競争力をつけ、現在と次の世代が経済・社会・環境の観点で需要を満たすことができるような都市のことです。類似の概念に「スマートグリッド」がありますが、スマートグリッドが電力に着目している一方、スマートシティは都市の生活基盤全般を含みます。

 スマートシティの構想には、エネルギーや医療、交通システム、インフラなど様々な分野で取り組みが進められています。例えばスマートエネルギーの観点からは、スマートグリッドやスマートメーター、発電・蓄電の自動制御、再生可能エネルギーの活用があります。また、交通システムの観点からは、スマートパスやEV用充電ステーション、物流・輸送の最適化などの取り組みがあります。

背景

 スマートシティが求められている背景には、2050年に世界人口の70%が都市に集中すると予測されていることがあります。また都市に人口が集中すると、より効率的なエネルギーの管理や行政サービスの向上、環境問題への対策が必要となります。そこで、クラウドやビッグデータなどを利用して種類・量ともに多くのデータを収集し、リアルタイムで都市機能の効率化に生かそうという動きが出てきました。

 上述のように、行政や医療、エネルギー分野など様々な分野で検討がなされています。また、経済的効果も大きいと言われており、世界のスマートシティ市場の規模は2020年までに約1兆5,650億ドルまで達すると予想されています。

世界の動向

 スマートシティについて、各国各都市の取り組みだけでなく世界規模でスマートシティ実現のために検討されています。例えば、2011年に始まった都市の課題と技術の発展について扱うSmart City Expo World Congress(SCEWC)という国際的な議論の場があります。2015年は105カ国14,288人もが参加。

 欧州でのスマートシティへの取り組みに関しては、大手不動産開発会社や不動産管理会社が手がける傾向にあります。日本では、スマートシティに関するプロジェクトに参画する企業は、電機大手会社が多く、日本と欧州の傾向が違うことがわかります。例えば、フランスの不動産開発大手Bouygues Constructionが進める「LinkCity」というスマートコミュニティ開発のためのプロジェクトでは、英ロンドンやスイス・バーゼル、フランス・ニースで都市開発を行っています。

 また、ベンチャー企業によるスマートシティ・プロジェクトへの参画も多く見られます。英Pavegen Systemsは床発電パネルを開発・販売し、ロンドン郊外のヒースロー空港やロンドン市交通局の地下鉄駅にも導入されました。また、スウェーデンBumbee Labsは、スマートフォン向けの無線LAN(Wi-Fi)を観光客に無料で提供することで、行動履歴をデータとして取得。それを解析してB to Bの売上や収益拡大のためのソリューション提供を行っています。

 加えて、日本企業が海外都市のスマートシティ・プロジェクトに参画する例もあります。例えば、2015年にはITコンサルティング企業の日立コンサルティングが、デンマーク・コペンハーゲン市のスマートシティ構想において、ビックデータプラットフォーム構築プロジェクトの事業パートナーとなりました。

日本の動向

 日本では、経済産業省により「次世代エネルギー・社会システム協議会」が設置され、横浜市、北九州市、豊田市、けいはんな学研都市の4地区が実証研究のために選ばれました。例えば「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」では、5カ年計画でエネルギー循環都市を目指し、横浜市と企業34社が15のプロジェクトを共同で実施。市内で4,200世帯がHEMS(Home Energy Management System)を導入、またEV(電気自動車)は2,300台導入されました。これらの実証実験は、日本国内に留まらず東南アジアなど新興諸国に向けてモデルを提案することを見据えています。

 上記に加えて日本経済団体連合会が「未来都市モデルプロジェクト」で11地域を選定。福島県檜枝岐村、茨城県日立市、千葉県柏市、神奈川県藤沢市、愛知県豊田市などが民間主導型のプロジェクトを行っています。

今後の展望

 日経BPクリーンテック研究所によると、世界のスマートシティ・インフラ市場規模は、2030年までの累積で4,000兆円に達すると予想されています。そのため、異業種からの市場参入も増えてきています。スマートシティを推進するには、実施地域の地方自治体との協働が欠かせません。市場は拡大し、競争も激しくなるこの分野で、関心の高い自治体との協働を世界規模で展開していける企業が、市場の帰趨を決しそうです。

参考文献

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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